初心者の個人投資家のみなさんは、口座開設する証券会社を最初に決めなくてはなりません。証券会社は大きく「ネット証券」「総合証券」に分かれます。
ネット証券はパソコンやスマートフォンなどから取引を行うもので、総合証券はリアル店舗の営業担当と相談しながら取引を行う形になっています。
また、取引対象を現物株に限るのか、資金を借りながら大きな額を運用する信用取引まで対象を広げるかによっても選択する証券会社が変わってきます。
当ページでは、証券会社の口座開設の概要を解説していきます。別ページで各ネット証券の口座開設方法を紹介していますので、そちらもあわせてご覧ください。
>> 松井証券の口座開設方法
>> ライブスター証券の口座開設方法
以下では、口座開設に至るまでの流れを説明します。
口座開設の指針
証券会社に口座開設するにあたり、最初は何をどう選べばよいかわからないものです。口座開設の指針をざっくりと示しますので、参考にしてみると良いでしょう。
ネット証券か総合証券を選ぶ
証券会社のタイプとして、情報収集から取引完了までをワンストップで行うネット証券か、証券会社の担当と相談しながら取引を行う総合証券の2つのタイプがあります。
ネット証券と対面型の総合証券どちらを選択するかは、それぞれの特徴をどのように利用するかによって変わってきます。
ネット証券を志向する場合には取引対象の銘柄を自分で決めて、証券会社の取引画面から取引ツールを使いながら自己完結する必要があります。多くの情報がネット上で調べられる現在、ネット取引のハードルはそれほど高くないと言えるでしょう。
一方、総合証券は情報収集の部分など証券会社の情報ストックを利用して間違いのない取引をしたい人に向いています。
安心した取引を望むのであれば対面型の総合証券を選ぶと良いでしょう。しかし、ネット証券は総合証券に比べて2倍~30倍取引手数料が安くなっていますので、コスト面を重視するのであればネット証券を選択することになります。最終的には自己責任で株を買うことになりますが、ネット証券で口座開設をするのであれば当サイトから、総合証券であればリアル店舗を足で探すことになります。以下でネット証券会社の手数料を徹底比較しています。
信用取引よりも現物取引から
株式投資において最も基本的な取引対象は現物株式です。まず初めは現物株の取引から始めましょう。ただし、さらにリスクをとりたいという人には信用取引など、証券会社からお金を借りる形で取引金額を増やして投資することも可能です。
まず初めに現物取引の投資からスタートして、ある程度利益を獲得することができるようになったら信用取引をするかどうか検討すると良いでしょう。
信用取引はリスクの高い取引です。取引をする前に株価がいくらなったらどれぐらいの損益が出るのか、というシミュレーションをしてから取引を行うことが大切です。損失を受け入れられる金額の範囲で、余裕をもって取引をする訓練を現物取引から始めましょう。
口座開設の流れ
口座開設する証券会社が決まったら、証券会社に資料請求をして口座開設手続を開始します。
証券会社への資料請求
ます。直接店頭に行かなくてもネット上で資料請求は完結しますので、ネットを使える環境にあれば、資料請求はネットで済ませてしまいましょう。資料請求をすると、3日~1週間程度で口座開設の案内資料が証券会社から届きます。
口座開設に必要な書類は基本的には証券会社から送られる口座開設資料です。その資料に必要事項を記載して、本人確認書類(免許証などの身分証明書のコピー)を添付するだけです。
最近では紙の書類の代わりに証券会社のサイトで必要事項を記入して、最低限の誓約書と本人確認書類で済むようになってきています。ネットで完結することに抵抗がない場合にはどんどん利用しましょう。
資料の記入
送られてきた口座開設の資料に一通り目を通したら、申込用紙等に淡々と記入します。申込用紙の記載例は証券会社が公開していますので、難しく考える必要はありません。
いくつもの証券会社があるので、ひとつの証券会社に絞れていない場合には、複数の証券会社の口座開設をしておくとよいでしょう。ひとりで申し込める証券会社の数には制限がありませんので、後で使わない証券会社としてしまって問題ありません。
口座開設に必要なもの
口座開設にあたっては、本人確認書類など個人で準備しておくものがありますので紹介します。
①本人確認書類、印鑑など
本人確認書類と印鑑が必要です。本人確認書類は免許証など証券会社指定のものになり、写真付きのものは1枚、写真がないものは2枚提出する必要があります。
写真付きの本人確認書類(以下から1枚のみ提出)
本人確認書類の種類 | 注意点 |
---|---|
運転免許証のコピー | ・有効期限年月日の期限切れに注意 ・住所を変更している場合は、変更履歴が記載された裏面のコピーも必要 ・公安委員会の印がはっきり写っていること |
住民基本台帳カードのコピー | ・有効期限年月日の期限切れに注意 ・住所を変更している場合は、変更履歴が記載された裏面のコピーも必要 |
在留カードのコピー | |
特別永住者証明書のコピー |
写真なしの本人確認書類(以下から2枚提出)
本人確認書類の種類 | 注意点 |
---|---|
各種健康保険証のコピー | ・生年月日と住所の記載が必要 ・有効期限年月日の期限切れに注意 |
各種年金手帳のコピー | ・年金の名称、氏名、住所、生年月日の記載が必要 ・上記項目の変更があった際は、変更日付の記載が必要 ・平成9年以降の年金手帳は住所の記載がないため受理が不可能 |
印鑑登録証明書 | ・発行後6ヵ月以内が有効期限 ・発行印、発行日の記載が必要 ・複数枚ある場合は、すべてのページが必要 |
戸籍抄本 | |
住民票の写し |
②マイナンバーカード(個人番号カード)の通知
平成26年1月から開始されたマイナンバー制度により、住民票を持つ方全員に配布されるマイナンバー(個人番号)が確認できるものを証券会社に通知しなければなりません。特定口座の税金の計算や納付、法令で定められる各種支払調書等の交付を証券会社が税務署に対して行っているからです。
対象の方は以下のとおりで、新規で口座開設する場合には、本人確認書類に加えてマイナンバーカード(個人番号カード)が必要になります。
- ・新規で口座開設を申し込む方
- ・すでに口座を持っている方
「通常の証券口座」の開設に加え、「NISA口座」や「未成年口座」「特定口座」「FX口座」「先物・オプション取引口座」「氏名・住所変更口座」でもマイナンバーの提示が必須になります。
マイナンバーの提示は「スマートフォンアプリ」や「インターネット」で行う方法と、「郵送」で行う方法のどちらかを選択できます。スマートフォンアプリやインターネットでの申し込みはマイナンバーを撮影して送信するのに対し、郵送での申し込みはマイナンバーのコピーを発送します。一時的に手元からマイナンバーがなくなることはありません。
口座開設の留意点
証券会社の口座開設にあたって留意するべき点があるので紹介します。
①口座開設に年齢等の制限はある
株は「取引」ですから、未成年でも自由に口座開設できるわけにはいきません。ただ、未成年名義の口座を開設できるようになっている証券会社はあります。有名なネット証券ではSBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券などは口座開設できるようになっています。
未成年の口座開設ですから、法定代理人である親権者の同意や親子関係の証明といったような手続きが必要になっています。
未成年の口座でも取引できますが、そこから派生する責任については親権者等の保護者が負うことになっており、当然ながらそれなりの制限があります。その制限については証券会社ごとに若干の違いがありますので、未成年の方は比較検討してみてください。
②金融機関に勤めていると証券会社に口座を開設できない
年齢制限の他に、金融機関に勤めていると証券会社に口座を開設できません。証券会社に勤めていればどうしても内部情報に触れざるを得ない場面があります。内部情報に基づいた株取引は、インサイダー取引という犯罪行為として処罰の対象となります。
証券会社に勤務している人が株で儲けた場合、外部から見て公平でないと思われたとしたら証券市場自体が成り立たなくなってしまいます。このような規制は致し方ないところです。
③一般口座か特定口座の選択はどうする?
株取引で利益が出ると場合によっては確定申告が必要になる場合があります。毎年確定申告をしていない人は「特定口座・源泉徴収あり」を選択しておけばいいでしょう。そうしておけば株取引で利益が出たとしても確定申告をする必要がありません。
④勤務先には口座開設はバレない
口座開設資料にはかなりプライバシーにかかわる情報も記載しなければなりません。たとえば、働いている会社名、会社の住所や電話番号、年収などを記載しなければなりません。
会社の電話番号を書かなければならないとすると、会社に知られてしまう可能性はあるのではないかと心配になりますが、口座開設しただけでは会社に連絡が行くようなことはありません。
個人情報の管理は口座開設資料とともに送られてくる契約約款などに情報の取り扱いについては記載してあるはずです。証券会社は顧客から預かった情報の管理責任がありますので、心配する必要はないでしょう(いわゆる守秘義務というものです)。
最近は個人情報の取り扱いについて証券会社側も非常に敏感になっています。個人情報が洩れるような信用問題はお金を扱う金融機関としては致命的です。証券会社は従業員に対して定期的にセキュリティ研修を受けさせるなど、情報管理を徹底しています。
個人的に不安であれば、証券会社に情報を提供するときに使用目的などを直接確認するようにしましょう。
口座開設完了
必要事項を記入し、口座開設に必要な書類を証券会社に送ると、内容が証券会社でチェックされます。不備が無ければ1週間~2週間程度で口座開設の通知が送られてきます。
口座開設の通知とともにネットのログインIDや仮パスワードが送られてきます。仮パスワードはそのまま使い続けるのではなく、必ず変更するようにしましょう。
ログインができることを確認したら、指定された口座に取引のための資金を振り込みます。振り込みが完了したら株取引ができます。
証券口座がなければ株取引ができませんので、先に証券口座を開設しましょう。以下で証券会社の手数料を徹底比較しています。