実際にIPO(新規公開株)に挑戦する、といってもIPOは抽選に当たらない限り購入することができません。絶対に当選する方法はありませんが、より当選しやすくなるための方法と、証券会社ごとの特徴を押さえておくことが大切です。
IPOの当選確率を上げる4つの方法
IPOに絶対に当選する方法はありませんが、IPO当選確率を上げる方法はいくつか存在します。基本的なことですが、まずはここから押さえていきましょう。
①ネット証券で公平な抽選を受ける
ネット証券で取扱いのあるIPOは、機械で当選者を決めます。一方、総合証券の場合、取引額が大きい顧客に割当が多くいってしまいます。また、ネット証券の中でも資金力が多い投資家が有利なシステムを採用している証券会社と、資金力に関係なく完全平等な抽選方式(完全平等抽選方式)を採用している会社に分かれます。初心者の内は特に完全平等抽選方式を採用しているネット証券に照準を合わせると良いでしょう。
②主幹事となる証券会社を狙う
IPOを仕切る証券会社を「主幹事」といいますが、主幹事会社は割り当てが多く、その分当選する可能性も高くなります。大手の証券会社は割り当てが多くなることが多いので、メインで使っている証券会社でない場合でも、いつでも申込できるよう事前に準備しておくと良いでしょう。
③口座開設数の少ない証券会社を狙う
口座開設数が少ない証券会社であればそれだけライバルが少なく、当選しやすくなります。IPO銘柄の取扱件数が多く、口座開設数が少ない証券会社を狙いましょう。
④資金移動をマメに行う
IPOの申込にはIPOを購入できるだけの資金が口座に入金されている必要があります。また、資金の多さがIPOへの抽選権になる証券会社もあります。IPOの実施に合わせてマメに資金移動を行いましょう。
IPOに挑戦する際の証券会社の選び方
ここでは、IPOに挑戦する際の証券会社の選び方を主要ネット証券との比較でお伝えします。IPOに挑戦するにあたっては、各ネット証券会社の配分数等に注目しながら、口座開設数(ライバル数)や売買手数料も考慮しておくと良いでしょう。
IPOの購入に対して特別に手数料が発生することはありません。これは、証券会社の手数料は公募価格に含まれているからです。仮に、公募価格が30万円の銘柄の場合、IPOに当選した投資家は30万円で株を購入しますが、幹事証券会社は割り引いた価格、例えば27万円程度でIPOの発行会社から株を購入します。その差額の3万円が手数料として証券会社に入るので個別に手数料が請求されることはありません。
ただし、IPO株を売却する時には通常の株式と同じ売買手数料がかかります。
各証券会社のIPO抽選比較
証券会社ごとにIPO抽選方式やIPO取扱数、口座開設数、手数料を比較しています。以降、証券会社ごとにIPOの抽選での当たりやすさを詳しく見ていきます。
証券会社 | 抽選方式 | IPO取扱数(2015年) | 口座開設数 | 手数料(~50万円迄) |
---|---|---|---|---|
SBI証券 | 口数による抽選(資金が多い方が有利) IPOチャレンジポイント制度有り |
82件(非常に多い) | 300万(非常に多い) | 139~272円 |
マネックス証券 | 完全平等抽選(完全公平抽選) | 52件(多い) | 92万(多い) | 100~450円 |
松井証券 | “他の証券会社よりも3日程遅い 70%完全平等抽選 |
14件(少ない) | 100万(多い) | 無料~500円 |
カブドットコム証券 | 完全平等抽選(完全公平抽選) | 18件(普通) | 90万(多い) | 135~585円 |
岡三オンライン証券 | 完全平等抽選(完全公平抽選) | 10件(少ない) | 9万(少ない) | 99~800円 |
東海東京証券 | 完全抽選数は10% | 28件(多い) | 非公開 | 1,620円~1,863円 |
ライブスター証券 | 取扱いなし | 取扱いなし | 多い | 80~340円 |
各証券会社のIPO銘柄取り扱い件数比較表
2013年 | 2014年 | 2015年 | |
---|---|---|---|
SBI証券 | 44件 | 65件 | 82件 |
マネックス証券 | 34件 | 39件 | 52件 |
松井証券 | 2件 | 5件 | 14件 |
カブドットコム証券 | 18件 | 19件 | 16件 |
岡三オンライン証券 | 10件 | 10件 | 1件 |
東海東京証券 | 28件 | 23件 | 13件 |
ライブスター証券 | – | – | – |
SBI証券
SBI証券は、口座開設数が300万件とネット証券トップの証券会社です。IPOの際には幹事を請け負うことも多く、IPOを狙うのであれば開設しておくべき証券会社です。SBI証券のIPOは、IPOの抽選に外れてもIPOチャレンジポイントを獲得することができ、ポイントが貯まるごとに当選率がアップするという制度を採用しています。
IPO銘柄の取扱件数
SBI証券のIPO銘柄の取扱件数はネット証券の中でも最大規模の多さです。IPOチャレンジポイント制度を有効利用するためにも多くの銘柄に申込をしておくと良いでしょう。
売買手数料
株式の売買手数料は全体的に安く、特に40万円~50万円の売買手数料では他社と比較して安い水準です。
10万円 | 20万円 | 30万円 | 40万円 | 50万円 | |
---|---|---|---|---|---|
売買手数料 | 139円 | 185円 | 272円 | 272円 | 272円 |
マネックス証券
マネックス証券のIPOの抽選方式は、資金量に関係なく、抽選権利は1人1票という、完全平等抽選システムを利用しています。1人1票の抽選権利なので、家族名義の口座も作っておくと当選する確率は単純に2倍になります。口座開設数は100万規模、2015年のIPO取扱い数(IPO取り扱い数)は52件という規模でありながら、完全平等抽選なので、初心者のIPO投資としては欠かせないネット証券と言えるでしょう。
IPO銘柄の取扱件数
マネックス証券のIPOの取扱件数はネット証券の中でも多くなっています。この規模の証券会社で完全平等抽選なのはマネックス証券だけです。
売買手数料
マネックス証券の株式の売買手数料は全体的に安い水準に設定されています。
10万円 | 20万円 | 30万円 | 40万円 | 50万円 | |
---|---|---|---|---|---|
売買手数料 | 100円 | 180円 | 250円 | 350円 | 450円 |
松井証券
松井証券は、IPOの抽選が他社よりも3日程遅いことが特徴です。これを利用して、他社で抽選を受けた後資金を移動して松井証券でもう一度同じ銘柄の抽選を受けることが可能です。資金が少ない個人投資家にとっては覚えておくと良い方法です。松井証券は、70%が完全平等の抽選。一般的な10%の完全平等抽選と比べると高い水準です。
IPO銘柄の取扱件数
松井証券のIPOの取扱件数は少ないですが、70%の完全平等抽選なので当選も期待できるでしょう。
売買手数料
松井証券の株式売買手数料は1日の約定代金合計金額で変わるボックスレートタイプで、1日の約定代金の合計が10万円以下の場合、売買手数料は無料です。
10万円 | 20万円 | 30万円 | 40万円 | 50万円 | |
---|---|---|---|---|---|
売買手数料 | 0円 | 300円 | 300円 | 500円 | 500円 |
カブドットコム証券
カブドットコム証券は、松井証券と同じく抽選権利が1人1票の抽選方式をとっています。カブドットコム証券は、三菱UFJフィナンシャルグループの一員なので、三菱UFJ証券が幹事となっている銘柄では抽選のチャンスがあります。
IPO銘柄取扱件数
カブドットコム証券のIPO銘柄取扱件数は毎年20件程度有ります。100%完全平等性なのでどんどん申込することで当選の確率は高まるでしょう。
売買手数料
カブドットコム証券の売買手数料は比較的安い水準です。
5万円 | 15万円 | 25万円 | 55万円 | |
---|---|---|---|---|
売買手数料 | 135円 | 225円 | 315円 | 585円 |
岡三オンライン証券
岡三オンライン証券は、証券口座数が9万件と他のネット証券会社と比べると少なく、IPOの取り扱いがある場合にはチャンスが大きいです。岡三証券グループのネット証券会社なので、岡三証券にIPO配分がある場合に割り当てがあります。抽選方式はマネックス証券やカブドットコム証券と同じく平等方式です。
IPO銘柄の取扱件数
岡三オンライン証券は2013年にIPOの取扱を始めたばかりで、実績は少ないですが、ライバルが少なく、完全平等抽選方式なのでねらい目と言えます。
売買手数料
岡三オンライン証券の売買手数料は、1回ごとの約定代金に対して手数料が変動するタイプと、1日の合計約定代金に対して手数料が変動するボックスレートタイプを選択することができます(下記はボックスレートタイプ)。
10万円 | 20万円 | 30万円 | 40万円 | 50万円 | |
---|---|---|---|---|---|
売買手数料 | 99円 | 200円 | 200円 | 200円 | 500円 |
東海東京証券
東海東京証券は口座開設数が少ない割には、IPOの幹事会社となることが多く、当選を期待できる証券会社です。完全抽選の本数は、平均的な10%となっています。
IPO銘柄の取扱件数
東京東海証券のIPOの取扱件数は近年多くなってきています。完全抽選数は10%と低いですが、銘柄数が多いので申込だけしておくのも良いでしょう。
売買手数料
東海東京証券の売買手数料は他社と比較して高い水準になっています。
25万円 | 50万円 | |
---|---|---|
売買手数料 | 1620円 | 1863円 |
ライブスター証券
ライブスター証券は、一般の株式購入においては手数料が安く、定評のあるネット証券ですが最近のIPOの取り扱いはありません。将来的には取り扱う可能性はあるものの、現段階では、ライブスター証券でIPOを狙うことは難しいので他の証券会社を選びましょう。
必要に応じてコツコツ抽選に申し込み
IPOは抽選に当選しなければ購入することができません。また、抽選の申込や口座開設に費用がかかることはありません。今回ご紹介した証券会社を中心にたくさんの口座を開設しておき、必要に応じて資金を移動して地道にコツコツ抽選申し込みしていくことで当選の確率を高めることができるでしょう。