株式売買の原理と株価の決まり方

株式投資を始めるに当たり、株式売買の原理と株価の決まり方を知っておくことは大切なことです。株式売買はどのようになされ、どのように株価は決定されていくのでしょうか。

株式の流通

株式の売買について考えるに辺り、株式会社というものについてよく知っておく必要があります。会社は商品を仕入れたり、商品を作る設備を導入したりするために資金が必要です。その資金を調達する方法の一つが、株式を発行するというものです。

株式を発行すると、投資家はその株を買い取ってくれます。会社は株を発行した対価としてお金を手に入れ、投資家は株を手に入れることになります。また、一度発行された株式は自由に売買することができます。こうして株は世界中で取引され、そのたびに株式の値段、すなわち株価が決定されます。このように株価は株を売りたい人と株を買いたい人の需要と供給の原則により決定されます。

上場株式と非上場株式

基本的には、自由に株式を売買できるのは株式会社の内、上場株式と呼ばれる、証券取引所で株式を公開している会社のみです。証券取引所で株式を公開していない会社を非上場株式と呼びますが、一般的に非上場会社の株式は役員や社員、関連会社、ベンチャーキャピタルなどの投資会社が保有しています。非上場株式の株式は未公開株と呼ばれ、証券取引所で取引することはできませんが、当事者間での売買は可能です。

株式を保有すると得られるメリット

株価は株を売りたい人と株を買いたい人の需要と供給の原則により決定されることが分かりました。それでは、株を購入したいという投資家は、株を保有することでどのようなメリットを得られるのでしょうか。

売買差益で利益を得る

株価は常に変動しています。そして上場されている株式は証券取引所を通して自由に株の売買をすることができます。このため、株価の低い時に株を購入して、株価が高くなったら売却する、という方法で売買差益を得ることができます。

配当金や株主優待を得る

会社によっては株式を保有していることで配当金を得られたり、株主優待を受けたりすることができます。

会社の経営に参加することができる

株式会社の原理に従えば、株式会社の持ち主は社長でも従業員でもなく、株主です。株式会社の目的は、社長の利益の最大化でも、従業員の幸福の追求でもなく株主への利益還元です。

そのため、株式会社は経営に関して株主の言うことを聞く必要があります。そして、株式を大量に保有している人ほど会社に対して口出しする権利が強くなります。

この条件のため、多くの株式会社は自社の株式の2/3以上、もしくは過半数を所有し、残りの株式で資金調達を行います。こうしておかないと、特定の誰かが一定数の株式を取得することで会社を乗っ取られてしまうこともあるのです。

株価の決まり方

株価は株式を売りたい人と買いたい人との需要と供給の原則により定まります。株を買いたい人は、基本的には保有するメリットに挙げたように売買差益や配当金、株主優待、経営に口出しできるといった利益のために購入します。つまり、買いたい人のメリットが得られる可能性が高くなる時に、多く買われることが予想できます。

会社の業績

株価は会社の価値を示すといわれています。会社の業績が上がると、この価値は価値があると判断され、株価が上がる傾向にあります。一方で会社の業績が下がると株価は下降傾向を示します。そして、会社の業績が下がり続ければ会社は潰れます、潰れた会社の株式は換金することができず、投資家は損害を被ります。

とはいえ、これは一面的な見方に過ぎません。実際に株価を見てみると、業績の良い会社でも一時的に株価を下げている場合もありますし、業績の悪い会社でも一時的に株価を上げている場合もあります。

これは、たとえば「この会社は業績が良い」と判断した投資家がとる行動の違いから説明できます。

  • 業績が良いからこれから株価が上がるだろうと判断する投資家
  • 業績が良いことはすでに株価に織り込まれているだろうと判断する投資家
  • 購入時より株価が上がったからここで売却して利益を確定しようとする投資家

このようにさまざまな投資家が存在することから単純には株価の推移を予測できません。

経済情勢

株価の決まり方には経済情勢も考慮する必要があります。

金利が高くなると株価が下がる

金利にもさまざまなものがありますが、金利の大元は政策金利と呼ばれるもので、これは銀行が日本銀行に預けるお金に付与される利息を決めるものです。一般的に金利が高くなると、銀行がお金を企業に貸し出すより、日本銀行に預けた方が良いと判断され、市中にお金が出回らなくなります。結果として企業が銀行から資金を調達する際の金利が高くなり、会社にとっては大きな負担となります。このため業績が上がらなくなり、株価が下がる要因となります。

投資家サイドから見ると、銀行は多くのお金を保有して、日本銀行に預けるだけで利益が出るため、一般の預貯金者に付与する金利を大きくしてでもお金を集めます。こうなると個人投資家は業績の上がらない会社に投資するより銀行に預金していた方が良いと考え、株価が下がる要因となります。

為替も株価に影響を与える

為替も株価に影響を与えます。ひとつは為替が輸入企業や輸出企業に与える影響です。輸入企業の場合円高で業績が良くなり、輸出企業の場合円安で業績が良くなります。日本の会社は輸出企業が多いため円安になるほうが全体の株価は上昇する傾向にあると考えられています。

もう一つは、外国人投資家の動きです。円安の時は外国人にとって安く日本の株式を購入できるチャンスとなり、株価上昇の要因となります。

上記以外にも株価はさまざまな要因が絡まり合って決まります。

証券取引所での株価の決まり方

今まで、全体的な意味での株価の決まり方についてご説明してきましたが、ここでは実際に多くの株が取引される証券取引所での株価の決まり方について説明します。

投資家は、株の売買時に証券会社に対して株を買いたい、または売りたいという注文を出すことになります。この時、株式の注文方法には大きく「成行注文」「指値注文」の2つの方法があります。また、証券取引所では、買い注文(価格と数量)と売り注文(価格と数量)をマッチングさせることで株価が決定しますが、この買い注文と売り注文のマッチングの方法には「板寄せ」という方法と「ザラ場寄せ」という2つの方法があります。

株式の注文方法

株式の注文方法には大きく成行注文と指値注文の2つの方法があります。

成行注文

成行注文(なりゆきちゅうもん)による注文は、売買価格を設定しないで銘柄と株数を指定して、その場の相場の成り行きに任せて売買することを注文します。売買価格を定めないため、売買が成立しやすいですが、相場が動いている状況では予想外の価格となることもあります。

指値注文

指値注文(さしねちゅうもん)による注文では、売買価格、数量、銘柄を指定して売買することを注文します。指値注文では、購入の場合希望価格よりも低い株価で成約、逆に売却の場合希望価格よりも高い株価であれば成約となります。指値注文は成行注文の後で執行されます。

2つの売買方式

証券取引所の売買方式には、板寄せ方式とザラ場寄せ方式の2つがあります。

板寄せ方式

板寄せ方式は、相場が決まると時に始値を決める場合に行われる株価の決定方法です。板寄せ方式ではその時点で出されている売買注文全てを突き合わせて、バランスがとれる価格で株価が決められます。

ザラ場寄せ方式

ザラ場寄せ方式は、取引開始後に用いられる株価の決定方法です。オークション方式とも呼ばれる方法で、今出されている注文を板と呼ばれる方法で示し、その板情報に合わせて都度取引を成立させるものです。

売り数量 価格 買い数量
500000 503円
10000 502円
2000 501円
500円 7800
499円 45000
498円 650000

上記の板の場合、すでに501円には2,000株の売り注文がありますが、ここでたとえば成行注文が入ると501の株価で約定となります。また、注文数が売り数量(2,000株)よりも多い場合は、足りない分をその上の502円の株価で購入することになります。

株価の予測とディープラーニング

最近では、こうした複雑な要素が絡み合う株価の予想にコンピュータが利用されています。たとえば、みずほ証券が使うコンピュータによる株式売買では、ディープラーニングと呼ばれるシステムが導入されています。ディープラーニングとは、システムがデータの特徴を学習して事情の認識や分類を行う機械学習のひとつの手法です。

みずほ証券のシステムでは予測対象の個別株の出来高データや直近の価格、約定数量、日経225先物などのデータから傾向を判断し、ターゲット時刻に株価が上がるか下がるかを予測します。投資家が株の購入の判断の際に用いるテクニカル分析は過去の株価や出来高を元にさまざまな指標を駆使して行うものですが、こうしたデータの分析はコンピュータの得意分野です。

今後このようなコンピュータを用いた株価予測の研究もどんどん進められていくでしょう。

株価の決定には国や企業、人間心理が絡む

株価の決定には企業の業績から国の経済情勢(金利や為替)、国際情勢とさまざまな事情が絡む上、人間心理も大きく影響するため、たとえ、どれだけ知識をつけても、株価の予測を完全に行うことはできません。しかし、ただ漫然と投資を繰り返すより知識や技術に基づいた投資を行うことで、投資成功の可能性を高めることはできます。そうした知識や技術を1つ1つ確実に習得していくと良いでしょう。