株式分割とは

「株式分割」という仕組みがあります。

株式分割とは1株あたりの株式を一定の割合で増やすことです。1株を2株に分割した場合に株式数は2倍になり、理論的には株価は2分の1になります。

したがって、株の分割により資産が即座に増加・減少する訳ではありません。

以下では、分割の目的や仕組み、メリット・デメリットについて見ていきます。

分割の目的

会社が株を分割する狙いは、株価を下げ、より多くの市場参加者に株式売買に参加してもらうことにあります。現在の株式市場でも100万円以上投資しないと最低単位の株式さえ買えない銘柄があります。株価が高騰している銘柄は業績が好調であることも多いので、分割を心待ちにしている個人投資家も少なからずいます。

分割の仕組み

株式分割の分割割合・是非は通常、会社の取締役会で決議されます。分割の恩恵を受けるためには「権利付最終日」と指定される日まで株式を持っていなければなりません。

「権利付最終日」の翌日が効力発生日であり、翌日の権利取得後は分割後の株数で取引できるようになります。分割の情報は日経新聞など各種媒体に掲載されるので、チェックしておくようにしましょう。

株式分割の3つのメリット

株式分割には3つのメリットがあります。

①最低投資額が減るので投資家が投資しやすくなる

株式分割により高騰した株価が下落し、投資家が投資しやすくなります。

たとえば、1株が50万円の株式があったとします。その場合には最低でも50万円ないとその会社へ投資することができません。

50万円は簡単に用意できるお金ではないことから、会社側が1株を5株に分割すれば最低10万円用意すれば投資することができるようになります。株式市場により多くの人が参入できる機会を株式分割が与えてくれることになるのです。

②既存の株主の資産運用の自由度が高まる

既存の株主の資産運用の自由度が高まります。たとえば、株が5分の1に分割されると、高騰した株を一度に売る必要はなく、今後の資産運用に合わせて少しずつ売ることができます。また、買い増すことも分割前よりハードルが低くなり、資産運用の選択肢が増えるのが株式分割のメリットのひとつと言えます。

③市場の流動性が高まり、健全な株価が形成される

株式分割によって、市場参加者が増えて取引が活発になれば、市場参加者は買いたいときに買い、売りたいときに売ることができるようになります。これを「市場の流動性が高い」状態と言います。

株価は買い手と売り手の均衡点ですが、適正価格が必ずしも維持されているとは限りません。売買取引を行う市場参加者が少なく、価格が硬直化する可能性があるからです。逆に、市場参加者が多く流動性が高いことは健全な株価形成を助けることになります。

株式分割の2つのデメリット

株式分割には2つのデメリットもあります。

①投機の対象になる可能性がある

株式分割は会社の経営が順調である場合に行われることが多いです。会社側が株式分割をするのは将来的にも経営に自信を持っているからと評価される場合があります。そうした評価は株式市場にとっては好ましいことなのですが、株式値上がりの材料として投機の対象になってしまうことがあります。

株価が上がりすぎてしまうと以後は買い手がいなくなり株価は暴落することがあります。市場参加者としては手っ取り早く儲けたい、という軽い気持ちから投機に乗ってしまうと、手痛い損害を被ることにもなりかねません。

②会社側の事務処理の煩雑化(株主総会の招集など)

会社側の事務処理が煩雑化し、負担が大きくなる可能性があります。

会社側は定期的に株主を株主総会に招集して、会社経営に関する承認手続き等を行わなければなりません。株式分割は小口の個人投資家を増やす反面、株主にも等しく株主総会招集通知を送る必要があります。しかし、株主総会の招集通知を送るためには、決算期末の株主を特定しなければなりません。株主数が多いと会社側の事務処理の負担を増やすことになります。

現在の株式市場においては取引の最低単位が10万円から100万円の範囲で収まっている会社が多いです。理論的にはさらに株式分割をすることもできますが、数万円程度の株主のために限られた労力をさかなければならないのでは割に合いません。

株式分割銘柄は儲からない

過去には株式分割銘柄の売買で儲けることができました。2006年以前、株式分割の権利付最終日と効力発生日は50日離れていても法制度上は問題ありませんでした。そして、株式分割の権利は与えられても実際に売りに出てくるのは50日後になる、ということで株式が「品薄」と評価されて株価が上昇したのでした。

この品薄は理論的には説明がつかないものなのですが、実際の株価は株式分割発表後に急上昇するものが続出しました。会社の業績が評価されて株価が上昇するのが本来の姿であるにもかかわらず、株式分割などの材料を発表することで株価が上昇するようになってしまったのです。

もちろん、業績の裏付けのない株価上昇は一過性のものでした。投機の対象となった銘柄が下落することは健全と言えますが、損失の穴埋めをするために優良株が売られるようになるなど、不健全な取引は各所に影響が出てきます。

株式分割を材料に投資して儲かったのは過去の話、投資をするときには割安なものを買う、という視点を忘れてはいけません。