株のスキャルピング

スキャルピングとは、短期間で最小の値幅でも利益を確定してそれを何度も繰り返す取引の手法をいいます。主にデイトレードで用いられる手法で、小さな利益を積み上げることで最終的には資産を持ち続けるよりも大きな利益を得ることを目標とするものです。

数ある投資手法の一つと言えますが、その特殊性からどのような取引手法なのかを十分に検討してから、自分の取引手法として使えるかを検討しておく必要があります。

スキャルピングの3つのメリット

短期的に小さな利益を積み上げるスキャルピングには、3つのメリットがあります。

①スキャルピングは短期勝負

まず一番のメリットは取引時間を限定できることです。金融市場をずっと追い続けることはかなりの労力が必要ですが、スキャルピングは1円の値動きでも上がれば利益を確定するものなので、短期で勝負がつくことが大きなメリットです。

取引を実行して株式を購入した場合、すぐ売るつもりがなかったとしても株価は気になります。上がれば利益を逃すかもしれないという心配、下がれば損が拡大していくという心配をしなければなりません。短期勝負の方が精神的負担を抑えることができるのです。

②リスクを避けられる

日本の株式市場は朝9時から午後3時までと決まっています。中長期の株式投資では夜間にテロや地震などの変動リスクに対応しようとしても、金融市場の取引時間外であればどうしようもありません。

一晩で大きく変動するリスクの回避という点からすると、スキャルピングはそうしたリスクを回避しやすい特徴があります。

③勝てれば投資効率が非常に高い

スキャルピングは短期で売買を繰り返していくものですから、順調にいけば短期間で多くの資産を築くことができます。ニュースで紹介されているカリスマトレーダーの中にはこの手法を使って資産を築いた人がいます。

有名なところではB・N・Fさんという方がいます。「ジェイコム男」としても有名ですが、ジェイコム株の誤発注に乗じて20億円を稼いだといわれています。40億円を投じて20億円をスキャルピングして獲得したと言われており、結果的に投資効率としては抜群です。

スキャルピングの4つのデメリット

スキャルピングにメリットがある一方で、4つのデメリットが存在します。

①取引環境を整えるための初期費用がかかる

まずスキャルピングを実践していくに当たっては相当の準備が必要です。まず、対象銘柄の価格の推移を見ることのできるチャートを使えるようにならなければなりません。チャートを使うに当たっては1分や5分の単位でリアルタイムに情報を更新するものである必要があります。

チャート画面はできれば短期・中期・長期の3画面(3台)は最低限必要で、金融会社の取引現場で見られるような6画面というのはまったく珍しくありません。こうしたハード面を用意するだけでもかなりの初期投資が必要です。

②情報面での対応能力が必要

株価は刻々と配信されるニュースに敏感に反応します。証券会社のプロのディーラーはロイターやブルームバーグなどの有料配信サービスを常に受信しています。情報が配信されれば即座に取引の開始や手仕舞いを検討します。

スキャルピングを実践するのであれば、個人投資家であっても機関投資家並みの取引スピードにもついていく必要があります。もっともニュースを丹念に読んでいる余裕はなく、株価が動き出した瞬間に反応できなければ負ける勝負となります。

③戦う相手は世界のプロフェッショナル

取引時間を短くすればするほど競争相手のレベルが上がっていきます。スキャルピングを実践するのであれば世界中の優秀な証券会社のディーラーと勝負することになります。というのも彼らプロフェッショナルは、限られた期間のうちに実績を残せなければ自分の会社を去らなければなりません。

プロは毎日が武器を使わない戦争をしているようなもので、やらなければ自分がやられる厳しい世界です。そういう環境におかれたプロフェッショナルと同等に渡り合っていくのは相当な困難を伴います。

④株式市場にはさらなる強敵が現れる

プロのディーラーの他に最近になって見過ごせない強敵が現れました。それは人工知能です。株式市場に関する膨大な情報を分析することによって、最適な取引を人工知能が計算して結論を出す動きがひそかに動き出しています。何しろコンピューターですから計算はものすごく速く結論をあっという間に出して取引を実行してしまいます。スピード勝負は人間ではもはやかなわないでしょう。

人工知能による取引は今後も発達していくはずです。個人投資家も人工知能に任せるようになっていくかもしれません。

スキャルピングが推奨できない2つの理由

投資手法のひとつであるスキャルピングは株の初心者には推奨できません。以下の2つの理由があるからです。

①スキャルピングは余裕を持った取引ができない

スキャルピングを実践するにはハード面の準備と情報に即座に反応できる反射神経、たとえ負けても再び勝負をしなければならないメンタルの強さも必要となります。

個人投資家であれば証券会社のディーラーのように限られた期間で実績を積み上げる必要もありません。個人投資家は1年間のうちに勝負を見送ることができます。極端に言えば1年間取引を見送ってもいいのです。取引環境が良いときだけ参加すればよいのであって、参加することに意義はありません。

こうした余裕を持つことが株式市場で取引をしていくうえで大きなアドバンテージとなります。何も証券会社のプロのディーラーと同じ土俵で勝負する必要はありません。スキャルピングを実践するのは本人の覚悟の上のことでしょうが、個人投資家がそこまで株式市場にのめり込む必要はありません。

スキャルピングは上級者が実践すべきもので、個人投資家はじっくりと中長期の視点で取引を実践していくのがよいでしょう。

②個人投資家の立場でスキャルピングをやるべきではない

短期で収益をあげようとすると、どうしてもプロと対等に戦っていく覚悟が必要です。ただ、個人でそれをやるぐらいなら、証券会社に就職してディーラーを本職にしてしまった方がよいでしょう。

もし、証券会社に入るのが難しいというのであれば、そもそも彼らと競争しなければならない取引の世界で勝てるはずもありません。フルタイムで心血を注いで勝負してくるディーラーと勝負して勝てる根拠があるのであれば、一度試してみるのもいいのかもしれません。
ディーラーという選択肢はいわば他人のお金(証券会社のお金)を使って、利益が出れば大きなボーナスがもらえるという、ある意味魅力的な職業です。

スキャルピングをやるぐらいならば、職業選択としてディーラーになった方がいいと言えます。もし、失敗しても損失は証券会社に計上されるだけなのですから。

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