ROE(株主資本利益率)について

ROEとは、ReturnOnEquityの略で、日本語では株主資本利益率または自己資本利益率と呼ばれるものです。

会社が事業活動に使用する総資本は、株主が出資した株主資本(自己資本)と銀行からの借入金や社債による調達分等(他人資本)に分かれます。

そのうちの株主資本に対する当期純利益の割合を表しているので、つまりは会社がどれだけ株主資本を効率的に使用し、利益を上げたかを判断するわけです。

株主にとってみれば、自分たちの投資資金が上手に使われて、採算がとれているかどうかの収益性を計る指標になるということです。

ROEの計算方法

ROEは、ROE(株主資本利益率)=1株あたりの利益(EPS)÷1株あたりの株主資本(BPS)で表されます。
※1株あたりの利益(EPS)=当期純利益÷発行済み株式数
※1株あたりの株主資本(BPS)=株主資本÷発行済み株式数

なお、ここで使用される「株主資本」とは、貸借対照表上の「純資産の部」から少数株主持分および新株予約権等を除去した金額、つまり「自己資本」(株主持分)のことをいいます。

たとえば、当期純利益と株主資本が以下の金額だったとします。

当期純利益・・・12,000,000円
株主資本・・・100,000,000円

上記の場合、12,000,000円÷100,000,000円=0.12という計算となり、ROEは12%となります。

利益の金額が同じであったとしても使用する元手が少ない方が収益性の高い会社といえます。また株主資本の金額が同じであったとしても利益を多く生み出す会社の方が収益性の高い会社といえます。

つまりROEは高いほど、株主資本を効率的に使い利益を生み出している証拠であり、収益性が高い会社と見ることが出来、逆にROEが低い会社は資金の使い方が下手で収益性が悪いという見方が出来るのです。

ROEは株主資本の効率性を計る指標

ROEは株主資本の効率性を計ることを目的としています。

元々、日本ではPBR(株価純資産倍率)PER(株価収益率)などの株価が割安であるか割高であるかを計る指標の方が投資の際には重要視されていました。

しかし、バブル崩壊後の日本市場では、日本の投資家にかわり海外投資家が主役となりました。その海外投資家が株式の投資に関して、「ROE=どのくらい株主資本を効率よく活用しているか」で、企業評価を重視していた影響で90年代後半から積極的に利用されるようになり、株式市場において重視される指標となったのです。

日本においても浸透してきているとはいえ、まだまだ日本企業のROEは欧米企業に比べると低くなっています。

しかし、「ROEが高い企業≒外国人投資家に評価される可能性が高くなる」と考えられることから日本の企業においても、ROEを高める動きがみられています。日本の個人投資家にとっても、「ROEが高い銘柄≒外国人投資家に評価される可能性が高くなる銘柄=外国人投資家が好んで買う銘柄」であり、値上がり期待ができますので、魅力的な投資対象なのです。

ROEを使用する際の注意点は後述しますが、高ROE銘柄をチェックすることで、魅力的な投資対象となる銘柄を見つけられる可能性があります。

また、企業業績の収益力を見るためには、売上高利益率などの指標がありますが、業種によりコスト構造が大きく変わっていることから、違う業種の企業を同一に比較することには向いていません。それに対して、ROEは株主の持分に対する利益の割合を示しているので、業種が違っていたとしても比較することができるという利点を持っています。

ROEで銘柄を選ぶ時の基準

ROEは高いほど良いということを説明しましたが、ROEを学校の成績のように判断するとすれば、優:15%以上、良:10%以上、可:5%以上というところが妥当な数値といえます。

ROEは実質的な株の利回りと同様なので、他の投資による利回りとの比較を余儀なくされる性質を持っています。投資家は、値下がり等のリスクを負って個別の銘柄を選定して投資を行うのですから、ある程度の利回りを狙いたいところです。

実際アメリカの一流の投資家・経営者として著名なウォーレン・バフェットも、投資目安として15%という数字を挙げていますし、国際的に営業を行っている上場企業もROE15%以上を目標として掲げているところがあります。

ただし、ROEが高すぎる場合も注意する必要があります。なぜなら「株主資本が少ない=経営の危ない企業」が少し利益を出すことで、高いROEになってしまうからです。

ROEを使う際の注意点

ROEが高いだけで銘柄を選ぶことは危険であり、銘柄の良し悪しをはかるためには、他の指標等も使用して判断する必要があります。

確かに、15%を超えるような企業は優秀で、基本的には高ければ高い企業の方が資本の使用効率が良く投資する際に魅力的な企業であるといえます。海外の企業は、利益を株主への還元することが重視されており日本も徐々にその傾向は強くなっています。

しかし、ROEは比較・検討する業界・状況・業態によって数値にバラつきがあるのです。良い株を選別する際は銘柄間で比較・検討しますが、ROEの傾向をつかんでおかなければ判断を誤る可能性があります。

以下では、ROEの傾向についてまとめていきます。

日本企業のROEは低く抑えられる傾向にある

日本の企業は昔から利益を株主に還元するのではなく、利益剰余金として利益を内部(資本)に蓄積しておくことが多く、ROEが低く抑えられる傾向にあることも理解しておく必要があります(勿論、まったく還元しない訳ではなく内部蓄積の割合が海外の企業に対して大きいということです)。

業種や業態によりROEの数値は異なる

業種や業態によってもROEが低くなりがちなものや、反対に高くなりがちなものがあることも理解しておく必要があります。たとえば、製造業などは、設備投資にかかる金額は大きく一般的にROEが低くなりがちですが、新興のネット関連企業などは、設備投資は比較的少なく済むことから、ROEが高い傾向があります。

ROEの分母は株主資本であることから、株主資本以外の資金が多い場合、言い換えれば借入金を増やしそれらを運転資金として経営を行い、利益を上げることで、ROEの数値は上昇します。

株式を発行するか銀行から借入をするか、どちらの方法で資金を集めるかによってROEは変わってくるのです。ROEが高い企業であっても借入金が多い企業は健全で利益を生み出しやすい体質とはいえません。

ROEを補助する指標

前項のROEを使う際の注意点でもふれたように、借入金を考慮していないことからROEだけで企業の良し悪しを判断するのは危険です。借入金を補う指標としてROA(総資産利益率)があります。ROAは、純利益÷総資産(純資産+負債)で表されます。ROEでは株主資本を使用するので負債を考慮しませんでしたが、ROAでは負債も考慮して計算を行います。

ROEが高いもののROAが低い会社は、つまり会社の運転資金のうち負債(銀行からの借り入れ)の締める割合が大きいということであり、支払利息等の負担が大きくなっている可能性があります。

そういった企業は、計算した期に関しては利益が出ますが、支払利息が大きいことを考慮すると継続的に利益を生み出す体質ではなく、投資対象としてもう一度検討しなおす必要があります。

以上のように、ROEを使う際には補助的な指標としてROAも一緒に使うといいでしょう。ROEの場合は10%以上を良としましたが、ROAの場合は5%以上で良といえます。投資対象として理想的なのはROEだけでなくROAも高い会社であることです。

これは他の指標でも当然にいえることではありますが、一つの指標のみを用いて一点から物事(銘柄)を見た場合、そのものの本質を見誤ることがあります。いくつかの指標を用いて多面的に物事(銘柄)を見ることで、その本質を捉え最適な投資を行うことができるのです。