株のMACDとは

MACDはテクニカル指標のひとつで、MACDとシグナル、OSCIと呼ばれる3つの値でトレンドや売買シグナルを判断することのできるものです。MACDはグラフを見るだけでトレンドや売買シグナルを分析できるため、株の初心者でも扱いやすく人気の高いテクニカル指標です。

MACD(マックディー)とは

MACD(マックディー)とは、「Moving Average Convergence / Divergence Trading Method」の略で、日本語では移動平均収束拡散手法といいます。MACDは2本の移動平均線を用いることで、相場の周期とタイミングを捉えるテクニカル指標のひとつです。

普通のテクニカル指標だと、株価のトレンドか売買タイミングのどちらかしかわからないのですが、MACDはこの両方の機能を併せ持っているのが特徴です。

MACDでは、MACDとシグナル、OSCIと呼ばれる3つの指標でトレンドや売買サインを判断します。

移動平均線について

MACDについてご紹介する前に、移動平均線について軽く触れておきましょう。移動平均線は、MACDと同じ「テクニカル指標」と呼ばれるものですが、その中でももっともポピュラーなもののひとつです。

移動平均線は、一定期間の終値の平均値をつなぎ合わせて線にしたものです。たとえば、一定期間を「3日」で設定した場合1日目の終値が100円、2日目の終値が102円、3日目の終値が101円だと、4日目に、前3日間の終値の平均値101円をチャート上に表示します。これを5日目、6日目・・・とつなぎ合わせていったものが「3日移動平均線」となります。

移動平均線では、株価が移動平均線よりも高いか、安いかでトレンドを把握します。たとえば、移動平均線よりも株価が上に位置していれば上昇トレンドにある、移動平均線よりも株価が下にあれば下降トレンドにある、と判断します。移動平均の値は株価が上がり続ければ、株価より遅れて上昇し、株価が下がり続ければ株価より遅れて下降していきます。このようにトレンドを追いかけるタイプのテクニカル指標をトレンドフォロー系と呼びます。

2本の移動平均線の組み合わせ

MACDは2本の移動平均線を用いた指標です。MACDのように、期間の異なる2つの移動平均線を用いて売買シグナルを判断するものとして、ゴールデンクロスとデッドクロスと呼ばれるシグナルがあります。

ゴールデンクロス

長短2つの移動平均線において、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上に抜けていくことで生まれるクロスをゴールデンクロスと呼び、買いシグナルとみなすことができます。

デッドクロス

一方、長短2つの移動平均線において、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下に抜けていくことで生まれるクロスをデッドクロスと呼び、売りシグナルとみなすことができます。

指数平滑移動平均線

MACDで用いる2本の移動平均線は、単純に一定期間の株価を平均したものではありません。MACDに使う移動平均は指数平滑移動平均と呼ばれる移動平均線を用います。指数平滑移動平均線では、最近の株価に比重を置き、過去になればなるほど比重を軽くして平均値を決定します。

この比重の減少度合いを平滑化係数として、0と1の間を取る定数α(平滑定数)と定めます。指数平滑移動平均は、平均を取る期間をn日とし、以下の計算式で求めることができます。

1日目=n日の終値の平均
2日目以降=前日の指数平滑移動平均+α(平滑定数)×{当日終値-前日の指数平滑移動平均}
ここで、α(平滑定数)は2÷(n+1)で求められます。

たとえば、先ほどの3日移動平均線と同じ条件で考えます。

α(平滑定数)は2÷(3+1)=0.5です。
3日目(当日終値101円)の指数平滑移動平均線は(100+102+101)÷3で100円
4日目(当日終値105円)の指数平滑移動平均線は100+(0.5×(105-100))=102.5円
5日目(当日終値110円)の指数平滑移動平均線は102.5+(0.5×(110-102.5))=106.25円 となります。

計算式を覚える必要はありませんが、指数平滑移動平均は、単純移動平均線と比べると直近の価格に比重を置いており、相場の流れに早く反応するということを理解しておきましょう。

MACDとシグナル

MACDは期間の短い指数平滑移動平均から、期間の長い指数平滑移動平均を引いて求められた値を結んだラインで構成されています。このMADCの値を一定期間単純平均した値を結んだラインで構成されたシグナルをグラフに表示し、このMACDとシグナルの位置関係によりトレンドを把握します。また、MACDとシグナルの差を示すOSCIと呼ばれる棒グラフを見ることでトレンドを把握することもできます。

MACDを使うタイミング

MACDは、グラフ上のMACD、シグナル、OSCIの3つの値の位置関係を見てトレンドと売買シグナルを見つけることができます。

MACDで捉えるトレンド

MACDの基本的な考え方は、MACDの値がプラスで、グラフが右肩上がりになっている状態を上昇トレンドと考えます。一方、MACDの値がプラスでもグラフが右肩下がりになってきたら上昇トレンドは行き詰まってきたと解釈することができます。

その逆にMACDの値がマイナスで、グラフが右肩下がりになっていれば下降トレンドMACDの値がマイナスでグラフが右肩上がりになれば下降トレンドは行き詰まってきたと解釈することができます。

つまり、トレンドの転換点を見つけることができます。

MACDで捉える売買シグナル

MACDでは、MACDとシグナルの位置関係により売買シグナルを判断することができます。基本的には、MACDがシグナルを上抜ければ買いサイン(ゴールデンクロス)、MACDがシグナルを下抜ければ売りサイン(デッドクロス)と判断できます。また、その時にMACDとシグナルの傾きが急であるほどそのトレンドが強いことを示します。

OSCIでトレンドと売買シグナルをチェック

OSCIはMACDとシグナルの差を表す棒グラフですが、OSCIの動きを把握することでトレンドと売買シグナルをチェックすることができます。基本的には、OSCIが上昇傾向にある時には株価は上昇トレンド、下降傾向にある時には下降トレンドと見ることができます。また、OSCIの値が天井圏を脱した時は上昇トレンドから下降トレンドへの転換と見て売りサイン、底値圏を脱した時は下降トレンドから上昇トレンドへの転換と見て買いサインと判断することができます。

MACDのメリットとデメリット

MACDはMACDとシグナルの動きや交差、方向性を見ることでトレンドや売買シグナルを分析することができます。見るだけで売買タイミングを分析することができるので使いやすいテクニカル指標だと言えますが、注意しなければならない点もあります。

MACDはサインが遅い

MACDの売買シグナルは、他の指標に比べるとサインが出るのがわずかに遅いという特徴があります。少しくらい遅くても問題ない場合もあるのですが、たとえば株価が同じは範囲で上下するボックス相場などでは特にその傾向が強くなります。急激な上下を繰り返すような相場では、買いサインが出た次の日には株価が下降し始めた、となる可能性もあります。

MACDは指標を見るだけでトレンドとシグナルを分析することのできる便利なものですが、MACD単体では判断を間違えることもあります。これは、MACDに限ったことではありませんが、テクニカル指標を利用して売買判断をする場合は複数のテクニカル指標を組み合わせた判断をするようにしましょう。

MACDとストキャスティクス

MACDと相性の良いテクニカル指標にストキャスティクスがあります。ストキャスティクスは日本語で推測統計学という意味のテクニカル指標です。この指標は、過去における高値、安値に対して当日の終値がどのような位置にあるのかを数値化したもので、「%K」、「%D」、「%SD」という3つの値を用います。

%Kは一定期間内に動いた値幅の範囲を100とした場合に、現在の価格がその何%に位置しているのかを表す値、%Dは一定期間分の%Kの平均値、さらに%SDは一定期間の%Dの平均を表します。

ストキャスティクスではこれら3つの値を用いてさまざまな売買判断ができます。たとえば、%Kを単独で用いて100に近い水準では売りサイン、0に近い水準では買いサインと判断できます。他にいくつもの判断方法がありますが、ここでは説明を省きます。

MACDは、テクニカル指標と呼ばれるもののうち、トレンドフォロー系と呼ばれる、トレンドを追いかけるタイプの指標であるのに対して、ストキャスティクスはオシレーター系やオシレーター指標と呼ばれます。オシレーター系のテクニカル指標は一定の範囲内で振動するように動くという特徴を持っています。

MACDとストキャスティクスを併用する

MACD単体では、MACDがシグナルを上抜ければ買いサイン、下抜ければ売りサインと見ることができます。これと併せて、MACDがシグナルを上抜けて、さらにストキャスティクスの%Kの値が0~30%圏にあればより強い買いサイン、MACDがシグナルを下抜けて、ストキャスティクスの%Kの値が70~100%圏にあればより強い売りサインとみることができます

一方、MACDで買いサインが出ていたとしてもストキャスティクスでそうでなければ買いを控えるといった判断も可能です。

MACDと他の指標を組み合わせる

MACDはMACDとシグナル、OSCIの位置関係を見るだけでトレンドと売買シグナルを分析することのできる便利なテクニカル指標ですが、他のテクニカル指標と比べるとサインが現れるのが少しだけ遅いというデメリットがあります。こうした問題点への対策として、他のテクニカル指標と併せて利用することでより精度の高い投資判断を行っていくと良いでしょう。