機関投資家について

株取引を行うにあたって理解しておくと良いことの一つに、個人投資家と機関投資家の違いがあります。

個人投資家とは、その名の通り株の売買を行う一般の個人を指します。個々で取引量の大小に違いはありますが、一般的に売買量は小さく、個人投資家の株式市場に対する影響は小さいです。

対して機関投資家とは、企業で株を運営する法人投資家全般を指し、具体的には生命保険会社や損害保険会社、信託銀行、投資顧問会社、年金基金などが機関投資家にあたります。公的には、「金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令」により、機関投資家の定義が出されています。

機関投資家は運用する資産の額が大きいため1回の売買で市場に与える影響が大きいです。機関投資家の資金の運用は明確な投資プランやルールなどに基づいて運用が行われることが多く、市場が一方向に振れやすくなる、こう着状態に陥りやすくなることが多くなっています。

機関投資家の運用資産

機関投資家の運用資産の元手は、例えば保険会社であれば保険加入者の保険料であり、投資信託会社であればファンド購入資金、年金基金であれば年金加入者の保険料となります。

保険会社や年金基金、金融機関の運用資金の性格はとてもよく似ており、年金や保険、預金などを預かって、それを運用する、つまり機関投資家は借金をして運用しています。

こうした機関投資家は、一般的には元本をできるだけ毀損しない手堅い運用を志向する傾向にあります。

また機関投資家全般として、一般的に長期運用が多く、リスク管理が厳格で顧客に対して運用の説明をする必要があることから、無難な運用となる傾向にあります。

日本の株式市場と機関投資家

日本の株式市場は非常に特殊で、売買代金の約8割が機関投資家絡みとなっています。その中でも特に大きな資産を持つのがGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人:Government Pension Investment Fund)と日本銀行で、現在、GPIFと日本銀行は日本株の株主1位と2位です。

GPIFは、厚生労働省所管の独立行政法人で、厚生年金と国民年金を資金源として約130兆円の資産を運用しており、世界最大の機関投資家と言われています。

こうした特殊な日本の株式市場の特徴は、機関投資家が強大な資産を背景に自分たちの売買に有利な株価を作ろうとしてくる、という点にあります。

裏を返せば、日本の株式市場で個人投資家が戦う場合には、機関投資家よりも先に、機関投資家が仕込む株を買い、機関投資家が売却するよりも先に売るという手法を取ることができれば非常に有効な戦略となります。

外国人投資家とその特徴

投資家としては個人投資家と機関投資家以外にもう一つ、外国人投資家があります。

外国人投資家には個人の外国人投資家以外に、外国資本の外資顧問会社などの機関投資家も含みます。外国人投資家のお金の動きは株価に大きく影響を与え、場合によっては企業買収を目的とした取引が行われることもあります。外国人投資家は国内の機関投資家等と違い、資産力のある投資家でも違反ギリギリのかなり厳しい取引を仕掛けてくる可能性もあるのです。

また、外国人投資家の取引の特徴の一つとして、海外情勢の変化による為替の値動きに対するリスクヘッジなどを目的として、円建て資産としての日本株式が選ばれることが見られます。機関投資家と同じく影響力の多い外国人投資家の動きにも注目しておく必要があります。

個人投資家が機関投資家に勝つには

個人投資家が機関投資家に勝つためには、機関投資家の手法や運用ルールを良く理解して、機関投資家に先駆けて投資を行う必要があります。

機関投資家と5%ルール

株式投資では、5%ルールと呼ばれる、株券等の大量保有の状況に関する開示制度があります。この5%ルールは、発行済株式総数の5%を超える株を保有した場合にはその事実を報告、公表する義務があります。

機関投資家は、5%ルールで株を保有したことを公表してしまうと、投資先を他の投資家に知られてしまうため簡単に5%を超えてしまうような、時価総額の小さな中小銘柄には手を出さないことが多いです。また、時価総額が小さな銘柄であれば、機関投資家が大きな資産で仕掛けてしまうと、大量の買いの途中で株価が上昇してしまったり、その逆に大量の売りの途中で株価が減少してしまったりと、自らの売買で損をしてしまう可能性があります。

こうしたことから機関投資家は投資先として中小銘柄を避け、時価総額の大きな銘柄への投資を行う傾向にありますが、この額は時価総額で100億円以上が一つの基準となっています。

機関投資家の投資する銘柄の特徴

機関投資家は、投資先を検討する際に組み入れ候補の銘柄を集めたリストを作成します。この中から投資先を決めていくのですが、先に書いたように100億円以上の時価総額が一つの基準となっており、業績が良く成長している企業であっても時価総額が100億円に達していなければ候補に上がることはありません。

そしてこうした成長企業が買われるタイミングが、株価を上げて時価総額100億円に近付いているときです。時価総額100億円に近付くと、機関投資家のルールを熟知した個人投資家による売買が機関投資家に先駆けて行われます。

一方、機関投資家は月次で組み入れ候補の銘柄を見直すことが多いため、月末時点での時価総額が重要です。見直しのタイミングで時価総額が100億円を超えていれば、先に購入していた個人投資家は、機関投資家の大量の買いにより株価が上昇し、利益を得ることになります。

機関投資家と利益確定

機関投資家は決算日に株を売って現金化するというルールがあります。このルールを利用して個人投資家は決算日前に、機関投資家が売却しそうな銘柄を売却すれば良いのです。そして利益確定した翌日には、機関投資家は次のポジションを取るための売買に動きます。そのタイミングで機関投資家が買いそうな銘柄を予想することができれば、個人投資家はさらに利益を得ることが可能です。

このように機関投資家を縛るルールと、機関投資家の傾向を理解していれば個人投資家は機関投資家と比べて非常に有利に戦うことができます。個人投資家が株式市場に与える影響は非常に小さなものなので、株式市場で利益を得るためには、株式市場への影響が大きい機関投資家の動きについて熟知しておく必要があります。

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