違法な株の売買について

車を運転する上では、交通ルールがあり、仕事をする中では、会社の規則があります。どちらも守らなければ、運転や仕事に支障をきたしたり罰則を与えられたりします。

同様に株の取引をするうえでは、さまざまな禁止されている投資方法や制約があります。ニュースでも取り上げられているように違法性のある取引を行った場合には、初心者・プロ関係なく罰金刑や懲役刑が科されることになるため、十分理解しておく必要があります。

健全な株式取引の為、それらの禁止事項や制約について説明していきます。

相場操縦行為

相場操縦行為とは、相場を操るような行為のことで、法律により禁止されています。相場操縦行為には以下のようなものがあります。

見せ玉(みせぎょく)

見せ玉(みせぎょく)とは、成約させる意思のない大量の注文を発注し、他の投資家の判断を誤らせ自分の利益につなげる行為のことです。大量または複数の注文を発注し、その後取り消す場合などが該当します。

たとえば、2,000円の売り注文を出した後、現在の株価よりも低い金額で大量の買い注文を入れます。するとほかの投資家は、大量の買い注文がある株=値下がりしにくい株と勘違いし、買い注文が入るようになります。

他の投資家の買い注文が入ると株価は上昇するため、買い注文を取り消し、株を売ってしまえば利益を得ることができます。誤認を与えることを目的とした発注が問題であり、株価の大量の注文の発注・取消すべてが違法行為になるわけではありません。

仮装・馴合い売買

一日の内に頻繁に売り買い注文を発注する行為などが該当します。

たとえば、取引が活発ではない株を持っていた場合、買い注文と売り注文を繰り返すのです。結果、取引数が増加することで、あたかも取引が活発な株式であるかのように見せることができるのです。

投資家は、取引が活発な株=注目されている株と勘違いし、株価が上昇し始めることで利益を得ることが出来るのです。見せ玉同様に誤認を与えることを目的とした発注が問題であり、頻繁な売り買い注文すべてが違法行為になるわけではありません。

インサイダー取引

10年程度前に村上ファンドの代表の村上世彰さんがインサイダー取引を行ったとして捕まったことを覚えている方もいるはずです。

インサイダー取引とは、会社の重要が情報を知る規制の対象者が、会社の重要事実を知りながら、その情報が公表される前にする株式等の取引をいいます。

規制の対象者とは、重要事実を持つ企業で働く人です。その範囲は、役員・正社員のみでなくアルバイトも含まれます。またその情報を知りうる状況にある人、たとえば顧問弁護士や税理士、取引金融機関などもその範囲に含まれるのです。

さらに以上の直接重要事実を聞いた人も含まれます(ちなみにさらに伝え聞いた人(また聞きした人)は対象になりません)。

次に重要事実ですが、重要事実には以下のようなものがあげられます。

  • 画期的な商品が完成した
  • 企業合併や分割を行う
  • 業務が好調(低調)であり決算を上方(下方)修正する
  • 配当額を増額(減額)する
  • 大幅な人員削減(採用)を行う
  • 海外へ進出(撤退)する

これらの情報は、株価に影響を与え、発表された以後は大きく株価を上昇(下落)させることが予測されます。そのためその情報を知りえた人間がその情報を基に取引してしまうと、公平な取引を阻害する要因となるため禁止されているのです。

最後に公表とは、重要事実が2社以上のマスコミに公表されてから12時間経過した時点とされています。つまり、簡単に言い換えると「立場上知りえた公になっていない情報を利用して株で儲けてはいけない」ということです。

空売り規制

空売り規制とはその名前の通り空売りすることに規制が入るというものです。空売りは、株式の売却であり、株価を下げる効果があるため、その行為は無制限に認められわけではなく状況によっては規制がかけられるのです。

空売り規制は、規制が出た時点から翌営業日の引けまで有効になります。

空売りとは

空売りとは通常の取引とは逆に売りからスタートする取引のことです。投資をする際に、上場企業の中から投資先を選別していく中で今後株価が下がるであろうと思える株があった場合、株式を買うことから始めるのではなく売りから始めるのです。株式を(証券会社から)借りて売り、株価が動いた後に市場で買い戻して株式を返すことで差益を得るのです。これを空売りといいます。

たとえば、1,000円の株式が900円になった場合は100円の利益を得ることができるのです。逆に1,100円になった場合は、100円の損が発生するのです。

通常の取引(株式の買付)であれば、損失が最大となるのは株価が0になる場合であり、損失金額=買付金額となりますが、空売りの場合は株価が上昇すればするほど損失は膨らむので、損失の金額は無制限となるため注意が必要です。

空売り規制の仕組み

空売り規制がかかると、「51単元以上の信用新規売り注文を、直近公表価格以下で発注すること」は禁止されます。

単元とは、株式を取引する際の最低単位のことです。単元が1株のものもあれば1,000株のものもあります。単元が1株であれば51株以上、単元が1,000株であれば51,000株以上の空売りには規制がかかるということです。

空売り規制は、あらかじめ定められているトリガー価格以下の株価になると開始されます。トリガーとは引き金という意味で、当日の基準値段-10%と定められています。

つまり、トリガー価格に達した時点で、何らかの理由によってその日すでに大きく売られており、それ以上の下落や市場への影響を抑えようという規制なのです。

空売り規制前でもトリガー価格を下回る金額で空売りできない

空売り規制の前であったとしてもトリガー値段を下回る金額での空売りも出来ません。また、1回の発注が50単元以下であったとしても、短期間に連続して発注し合計が51単元を超える発注である場合には分割したとみなされ、空売り規制がかけられることがあります。

仮名取引、借名取引

仮名取引、借名取引が禁止されています。

仮名取引とは、他人の名義や架空口座を利用して、素性を隠して行う取引のことです。また、借名取引とは、家族名義や友人名義の口座を利用して、名義人に成りすまし行う取引のことです。

つまり、どちらも自分ではない名義で取引を行うということです。その取引の内容から脱税やマネー・ローンダリング(資金洗浄)の温床となる可能性が高いため禁止されているのです。

該当することがあると考えられる取引は以下のようなものが挙げられます。

  1. 架空の名義で口座開設し利用する場合
  2. 他人の名義で口座開設し利用する場合
  3. 名義人以外が取引をする場合
  4. 取引に使用される資金が名義人のものではない場合
  5. 複数人が一つの口座を利用している場合

 

このような取引を行わないことはもちろんですが、自分の口座を利用して取引が行われないようにIDやパスワードは自己責任でしっかり管理しましょう。

風説の流布

あまりに日常会話では耳にしない言葉でありますが、意味は簡単です。風説は、噂という意味。流布は、広めるという意味です。つまり、「株価を操作することを目的としてウソの情報を流してはいけません」ということです。

これは当たり前のことですね。これが許されてしまっては、めちゃくちゃな情報が氾濫し株式市場は混乱します。代表的なものとしては、インターネットのネット掲示板への書き込みがイメージ出ると思います。

匿名性の掲示板であってもIP番号等によって調べることは簡単ですし、その情報が実際に株価に影響を与えることがなかったとしても、内容に違法性があったり悪質なものであったりすれば、企業側から営業を妨害していると訴えられることも考えられますので変な書き込みをしないほうに越したことはありません。

規制や禁止事項を意識して公正に取引

ここまで説明した規制や禁止事項は代表的なものだけですが、「自分の利益だけのために他の投資家に迷惑をかけない」ことを認識して公正に取引するようにしましょう。

>> 株のリスクと対処法

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