制度信用取引と一般信用取引の違い

信用取引は投資家が証券会社から資金を借りつつ投資をするハイリスク・ハイリターンを狙う株式投資です。そして、信用取引には①制度信用取引②一般使用取引の2種類があり、それぞれの使い分けについて事前に知っておく必要があります。

制度信用取引、一般信用取引とは

制度信用取引とは証券取引所が認めた一定の銘柄に対して共通のルールで許された信用取引を指します。全社共通のルールで業務執行されますので、返済期日等も取引所が決めたルールを外れることはありません。

一般使用取引とは証券会社と投資家との間で取引可能銘柄や決済期限などを自由に取り決めた上で行われる信用取引を指します。取り扱われる銘柄は制度信用取引に比べて広く、基本的には全銘柄を対象としているような証券会社もあります。

制度信用取引、一般信用取引の違い

2つの信用取引の違いをもう少し詳しく見ていきます。

対象銘柄の選定

  • 制度信用取引:証券取引所が指定した貸借銘柄
  • 一般信用取引:各証券会社が指定した貸借銘柄

証券取引所が貸借銘柄を指定する「制度信用銘柄」は、買建と売建の両方ができる「貸借銘柄」と、買建のみ可能な「信用銘柄」に分けられています。通常は、1日の取引量が少ない小型株は貸借銘柄から除外されています。

一方、「一般信用銘柄」は証券会社が貸借銘柄を指定するため、取引できる銘柄は証券会社により異なります。

返済期限(返済期日)

  • 制度信用取引:6ヵ月
  • 一般信用取引:無期限

制度信用取引は、買建であれば取引してから6ヵ月後の応当日までに売り決済をしなければなりません。一般信用取引は基本的に期間の制限はないため、「無期限信用取引」とも呼ばれることがあります。

逆日歩(ぎゃくひぶ)

  • 制度信用取引:あり
  • 一般信用取引:なし

信用売り(空売り)は投資家が株を借りて売ることで成立する取引ですが、通常は証券会社等から借りれば足りますが、貸せる株には限度があります。証券会社等が貸せる株を調達できなくなると他の金融機関等にお金を払って株を借りてくることになります。

そうした株の調達コストは証券会社が負担するわけにはいきませんから、証券会社は投資家に負担してもらうのですが、これを「逆日歩(ぎゃくひぶ)」といいます。

余談ですが、逆日歩で空売りをかけた投資家が大損することがあります。倒産のニュースが流れるなどして長くはもたない会社に空売りをかけても、逆日歩が原因で儲けるどころの話ではなくなることもあります。

信用売りをする場合にはそうした事例を事前に調べてから実行するようにしましょう。

さて、ここまでは逆日歩の基本の話ですが、制度信用銘柄には逆日歩がつき、一般信用取引には逆日歩はつきません。これは一般信用取引が空売りをかける投資家に貸す株はその証券会社自身が調達していることが前提だからです。

もっとも、逆日歩はつかなくても借り方金利を引き上げるなど別の名目で証券会社が対処することになるので、一般信用売りをした投資家の負担がゼロになるということではありません。

貸株料

  • 制度信用取引:2%台(年率)
  • 一般信用取引:3%台(年率)

制度信用取引は6ヵ月の決済期限や取引銘柄が限定されている点など、証券取引所のルールの範囲内で運用されていることもあって、一般信用取引に比べて金利は低めに設定されています。

一般信用取引は制度信用銘柄以外の銘柄であっても信用取引を可能にするため、証券会社等の一定の努力が必要です。その分コストが高くなっています。

IPO銘柄(新規上場銘柄)の売買

  • 制度信用取引:できる(ただし貸借銘柄のみ)
  • 一般信用取引:基本できないが証券会社のサービスでできるようになりつつある

IPO銘柄(新規上場銘柄)は公開当初は人気化して株価が急上昇することもありますが、しばらくすると急落する銘柄も数多くあります。

もし、そうした急落銘柄を事前に空売りできれば大きく儲けることも可能です。しかし、IPO銘柄は制度信用取引銘柄に選定されるまで時間がかかるため、空売りしたいタイミングで空売りできない可能性があります。

IPO銘柄の急落場面に合わせて空売りできる証券会社

IPO銘柄の急落場面に合わせて空売りしたい、という要望に応えたのが一般信用取引を利用したサービスです。

SBI証券松井証券はいち早くサービスを提供しており、SBI証券では「HYPER空売りサービス」、松井証券では「プレミアム空売り」として投資家の期待に応えています。特に、松井証券のプレミアム空売りでは、上場初日からの取引が可能です。

通常の一般使用取引よりも若干コストはかかるものの、下落を始めたら止まらないIPO銘柄の性質を利用した空売りはデイトレードで多くの成果を上げています。

こうした空売りサービスで儲けるのは、新しい会社の成長の芽を摘むとの批判もありそうですが、株価はいずれ業績見合いの水準に落ち着くものです。

それよりも問題なのは目新しい会社であることで投資家心理を刺激して、ありえない株価まで上昇させてしまう投機の方にあります。

IPOの空売りサービスは、こうした投機を未然に防ぐものとして一定の役割を認められるべきものです。

制度信用取引と一般信用取引を選ぶ

信用取引では、制度信用取引と一般信用取引のどちらかを選ばなければなりません。以下では制度信用取引と一般信用取引を選ぶときの考え方を紹介します。

制度信用取引を選ぶパターン

信用取引の場合、基本的には一般信用取引ではなく制度信用取引を選びましょう。その際、制度信用取引を利用するには制度信用銘柄である必要があり、さらに空売りを考えている場合は貸借銘柄でなければなりません。

もっとも、信用取引は資金を借りてきてレバレッジをかけて効率よく儲けることができる反面で長期になればコストも無視できません。コストをほとんど考える必要のない現物取引で足りるのか常に意識しておく必要があります。

一般信用取引を選ぶパターン

以下の2つのパターンに該当するとき、一般信用取引の利用が考えられます。

制度信用取引が使えない場合

貸借銘柄として認定されていないため制度信用取引での空売りができない一方で、一般信用取引で空売りができる場合は一般信用取引を選択せざるを得ません。また、IPO銘柄で制度信用銘柄になっていない場合も一般信用取引を選択せざるを得ません。

このように「他に方法がない」という場合に一般信用取引を使うようにしましょう。

配当タダ取りを狙う場合

一般信用取引では逆日歩がかかりません。ということは、配当期日前に一般信用の売りを出しておいて、権利落ち日に現物株と一般信用取引の売りを寄付で同時決済すれば、配当の権利をタダでとることが可能です。

もちろん、逆日歩以外の取引コストが若干かかるのでそれを差し引いたときに黒字でなければならないのは言うまでもありません。

その道を究めればそれなりに儲けられる手法のようですが、万人にお勧めできる投資手法ではありません。