先物取引とは

先物取引は株の現物投資と比べても難しいというイメージが強く、投資初心者には避けられがちですが、最近では証券会社のサポートも厚く、少額で投資をすることもできるため、初心者でも参入しやすい環境が整ってきています。

今回、先物取引がはじめてという人のために、先物取引の仕組みやメリット、デメリット等をまとめてみました。

先物取引とは

先物取引とは、現在の価格で将来に商品を売買する取引のことです。

先物取引では、あらかじめ売買の価格を設定して契約するため、将来の価格が現在の価格より値上がりすると予想すれば将来購入する先物取引契約をすればよく、逆に将来の価格が現在の価格より値下がりすると予想すれば将来売却する先物取引契約をすれば良いということになります。

先物取引の仕組み

大豆やトウモロコシなどの現物のある先物取引を商品先物取引と呼びますが、先物取引の仕組みについて理解してもらうために、最初に商品先物取引の仕組みについてご説明します。

  1. 現在の大豆の価格が1kgあたり30円で、1年後に40円に値上がりするかもしれないと予想したAさんは大豆の先物の購入を検討することにしました。
  2. 大豆の先物を扱っているBさんを訪れたところ、購入単位は、1トンから取り扱ってくれるとのことでした。(先物取引ではこの購入単位のことをと表現します)Aさんは将来大豆が値上がりすると予想しているため、10トン=10枚を1年後に1kgあたり30円で購入する条件で折り合いがつき、30万円分購入することになりました。先物の契約では、全額を支払う必要はありませんが、証拠金を預ける必要があります。今回は大豆10枚分の価格である30万円を支払う必要はありませんが、証拠金を1枚につき3千円差し入れる必要があるとのこと。AさんはBさんに証拠金の3万円を支払いました。
  3. 先物取引の契約から半年後、大豆の価格が40円になりました。約束の期日まではまだ後半年ありますが、最初に予想していた価格まで上昇したのでAさんはBさんの元を訪れてみました。Bさんに聞いてみると、まだ後半年待っても良いし、大豆を40円で買っても良いという人がいるから、ここで決済しても良いとのことでした。Aさんは、悩みましたが予想していた40円に達したので決済することにしました。
  4. Bさんは大豆10枚分を40万円で売却し、差額の10万円と、先に証拠金として預かっていた3万円の合計13万円をAさんに渡し、AさんはBさんに手数料として5千円を支払いました。

こうして、Aさんは実際に大豆を動かすことなく、先物取引の契約だけで、10万円の利益を得たことになります。このやり取りのことを差金決済(差金等決済)と呼び、株の先物取引でもこの仕組みが取られています。また、Aさんが最初にBさんに預けた証拠金のことを委託本証拠金、AさんからBさんに支払った手数料のことを委託手数料と呼びます。この一連の流れが先物取引の基本となります。

商品先物取引と金融先物取引の違い

先物取引には、商品先物取引と金融先物取引があります。一般的に先物取引というと商品先物取引のことを指すことがほとんどです。とはいえ、商品先物取引と金融先物取引の仕組みはほとんど同じと考えて差し支えありません。先物取引で取引する商品が大豆やトウモロコシなど実体のあるものを商品先物取引と言い、金利や株価指数など実体を持たないものの場合は金融先物取引と呼びます。

先物取引と信用取引の違い

先物取引信用取引には、双方とも証拠金取引であるなど似ている部分もあるので、特に初心者の方は混同しがちなのですが、本質的には全くの別物です。

そもそも、信用取引とは簡単に言うと「自分を信用してもらい、持っている資金以上の融資を受けること」です。信用取引では自分の資金や株式等を担保にして、手元にある資金以上の投資が可能になります。信用取引も、取引にあたって証拠金が必要となるので、形上は先物取引と似て見えます。

信用取引では証券会社等から買付金の融資を受けたり、売却する時は売却する株式を証券会社から借りて売買を行ったりしますが、先物取引ではどこかからお金を借りたり、商品を借りたりすることはありません。また、信用取引では証券会社等から融資を受けたり、株式を借りたりするだけで、実際に購入する商品は一般の商品と同じもので、価格も変わりません。一方、先物取引は現物の市場と独立して取引がされるため、同じ商品でも現物と先物とでは価格が異なります。

先物取引の2つのメリット

ここでは、先物取引の2つのメリットについてお伝えします。

①小さな額で大きな額を扱える

先物取引は、取引金額が少なくても、大きな額が扱える取引です。

たとえば、株価指数の先物である日経225先物の値段が1万8,000円の場合、先物1枚(1購入単位のことを1枚と呼びます)あたりの約定代金は1,800万円です。一般の個人投資家が1,800万円もの額を取り扱うのはなかなか難しいでしょう。しかし、先物取引では証拠金を差し入れることで取引ができます。1枚あたり必要な証拠金は証券会社により異なりますが、100万円程度です。また、日経225mini先物という商品では約定代金も証拠金も10分の1で購入することができます。

②銘柄選びで悩む必要がない

日経225先物やTOPIX先物といった商品は、株価指数を対象としています。

たとえば、日経225先物は、東京証券取引上第1部上場企業の内、取引の活発な225社で構成される株価指数である日経平均株価に対する先物取引です。通常の株式投資では個別銘柄の財務分析をして倒産リスク等を回避しなければならないことと比べると、日経平均株価は日本の株式市場全体の動向を予想するだけで済むため、初心者にとっても取り組みやすいと言えるでしょう。

デメリットは損失が大きくなる可能性があること

一方で、先物取引にはデメリットもあります。少ない額で大きな額を扱うことのできるのが先物取引の特徴ですが、手元にある資金以上に損失が膨らむ可能性があります。また、予想とは逆向きに相場が動き、発生した損失が差し入れた証拠金の額を上回る場合には、追加で証拠金を差し入れる必要がある(追証)場合もあるので注意が必要です。

必要以上に大きな額を投資するのは避け、また損失が発生した場合にはさらに損失が膨らんでしまう前に早めに損失を確定してしまうことを心がけましょう。

先物取引におすすめの証券会社

ここでは、先物取引を取り扱っているネット証券会社を比較検討します。

先物取引を始めるにあたって、各証券会社の手数料を比較するのも大切ですが、差し入れる証拠金の違いであるSPAN証拠金率にも注目して取引をする証券会社を選ぶと良いでしょう。

SPAN証拠金とは

SPAN証拠金は、先物取引やオプション取引において証拠金のベンチマーク(指標)となる金額です。

SPAN証拠金の金額は市場のリスクに応じて変動します。また、各証券会社はSPAN証拠金に、独自に設定したSPAN証拠金率を掛けた金額を証拠金として要求します。

たとえば、SPAN証拠金が100万円、SPAN証拠金率が1.2倍の場合には100万円×1.2で120万円を証拠金として納める必要があります。

主要ネット証券会社比較

証券会社 日経225先物手数料 日経225mini先物手数料 SPAN証拠金率
SBI証券 432円/1枚 43.2円/1枚 1.0倍
マネックス証券 346.5円/1枚 52.5円/1枚 1.2倍
松井証券 315円/1枚 42円/1枚 1.2倍
カブドットコム証券 462円/1枚 48.3円/1枚 1.0倍
岡三オンライン証券 259~324円/1枚 43円/1枚 1.0倍
ライブスター証券 279.30円/1枚 38.85円/1枚 1.1倍

投資初心者への先物取引のすすめ

先物取引は少額で取引ができ、銘柄を選ぶ必要もないといった点から、必要以上の額を投資しないことを守ることができるのであれば、初心者にとってもおすすめの取引です。主要なネット証券会社でも手厚いサポートが受けられるので、手数料や証拠金に融資な証券会社を選んだら、実際に先物取引に取り組んでみてはいかがでしょうか。