投資初心者のためのデリバティブ取引解説

デリバティブ取引と言えば人によっては意味の分からないものの代表のようなイメージを持っている方もいるかもしれません。確かにそうした側面はありますが、一方で活用することができれば投資初心者にとって大きな助けとなってくれるものです。今回はデリバティブ取引の種類や、そのメリット・デメリットについて投資初心者の方にも分かりやすくご説明します。

デリバティブ取引とは

金融商品には、株式以外にも債権や外国為替などさまざまなものがありますが、こうした金融商品のリスクを低下させたり、逆にハイリスクで大きな収益を得たりする手法として開発されたのがデリバティブ取引です。

デリバティブ取引には先物取引やスワップ取引、オプション取引等がありますが、この内先物取引は、ある金融商品を将来売買することを約束する取引のことを指し、またオプション取引はある商品を将来ある価格で売買する権利を売買する取引のことで、さらにこれらを組み合わせた取引もあります。

デリバティブ取引の中にはリスクを低下させるものや限定させるものもありますが、実際の資金以上に投資をすることも可能な場合があり、よく仕組みを理解しないままデリバティブに投資してしまうのは危険です。

デリバティブ取引の種類

デリバティブ取引は、先物取引やスワップ取引、オプション取引など、投資家のさまざまなニーズに応えるべく多様な仕組みが開発されています。ここでは代表的な先物取引とスワップ取引、オプション取引について説明します。

先物取引とは

先物取引とは、英語ではフューチャーズと呼ばれ、金融商品を将来の時点で売買する予約をする取引です。通常の予約取引の場合、予約日に金融商品の受け渡しを行いますが、先物取引では商品を受け渡す代わりに反対取引をして生じる差益を受け渡します。

先物取引と通常の予約取引の違い

たとえば、AさんとBさんで、ある株式を1か月後に1,000円で売買する予約をした場合、その株式が1か月後に200円上昇していたらAさんは1,200円の価値のある株式を1,000円で購入することができ、さらにその株式を市場で売却すると200円の利益を得ることができます。

先物取引の場合、AさんとBさんで、ある株式を1か月後に1,000円で売買する予約をしていた場合で、同じようにその株式が1か月後に200円上昇していたとします。先物取引の場合、ここでBさんが他の投資家に1,200円で株を売却(反対取引)することで、差額の200円をAさんに支払います。Aさんはこうして差額の200円だけ受け取る事になります。先物取引のこうした仕組みを差金決済と呼びます。

先物取引の相手は個人ではなく、証券取引所です。証券取引所で購入することのできる先物取引は予約の対象となる商品や取引の上限があらかじめ決められています。また先物取引は証拠金制度が導入されています。証拠金制度とは取引所に一定の証拠金を差し入れることで売買できる制度で、証拠金は予約金額の3%程度だけで良いため、実際の資金よりも多くの金額を扱うことができてしまう点に注意が必要です。

スワップ取引とは

スワップとは、交換という意味の英語で、スワップ取引は、将来の同じ価値のキャッシュフロー(お金の流れ)を交換する取引のことを指します。

代表的なものに金利スワップや通貨スワップがあります。金利スワップは固定金利と変動金利、長期金利と短期金利等異なるタイプの利息を交換する取引で、通貨スワップはドルと円など異なる通貨の将来の金利と元本を交換する取引のことです。通貨スワップは、金利スワップと異なり利息だけでなく元本も交換されます。

スワップ取引は売り手1人に買い手1人の相対取引で行われ、通常スワップの交換は複数回に渡って行われます。

通貨スワップについて

通貨スワップは、輸入業者が商品を輸入する場合等に利用されます。たとえば、ある商品を1ドル110円で輸入することができれば利益が出るという計画を立てていた場合、1ドルを110円で交換する通貨スワップをすることで、たとえばその後120円の円安となってしまい、損失が出てしまうリスクを回避することができます。

もちろん、この場合円高が進み100円となった場合に、その恩恵を受けることはできません。

オプション取引とは

オプションは英語で選択権という意味で、先物取引が売買なのに対して、オプション取引は権利の取引です。オプション取引は、ある商品を将来の一定期日に、特定の価格で売買することのできる権利を売買します。権利なので、行使するのもしないのも自由です。利益が出るのであれば権利を行使すれば良く、損失が出るのであれば権利を行使しなくても構いません。

オプション取引には、買う権利であるコールオプションと、売る権利であるプットオプションの2つの取引があり、さらにそれぞれに売り手と買い手がいるので、オプションの売買にはコールの買いとコールの売り、プットの買いとプットの売りという4つのタイプが存在します。

ここで、オプションを行使するか放棄するかを選択できるのは買い手の方です。コールの買いとプットの買いの側は購入したオプションを行使するか放棄するかを選択することができ、コールの売りとプットの売りの側は買い手の意志に従う必要があります。

デリバティブ取引のメリットとデメリット

デリバティブ取引のメリット・デメリットを紹介します。

デリバティブ取引のメリット

デリバティブ取引のメリットは、リスクヘッジにあります。相場の下落リスクを回避したい場合、現物の株式の買いと、先物の売りを組み合わせることで可能になります。

2つめのメリットは、市場の流動性が向上することだと言われています。デリバティブ取引によって相場環境に関わらず一定の流動性が確保されます。

デリバティブ取引のデメリット

デリバティブ取引のデメリットとして、流動性の向上が行き過ぎた結果、必要以上に相場を急騰、急落させる要因となる可能性があることがあげられます。

また、2つめのデメリットとして取引が複雑化してしまうことがあげられます。デリバティブ取引は金融工学により生み出された商品で、一般の投資家にとっては理解が難しいものです。結果として市場の透明性が失われてしまう可能性があります。

デリバティブ取引と投資初心者の関わり

デリバティブ取引は高度な内容の取引ですが、今やインターネットで簡単に取引することができるようになっています。デリバティブ取引は証拠金制度によって実際の資金より多くの額を取り扱うことができ、場合によっては一瞬で大きな損失を出してしまう可能性もあるハイリスクハイリターン商品です。

一方、デリバティブ取引にはリスクヘッジ効果があるということはお伝えしました。しかし、たとえば現物の買いと先物の売りでリスクを低減させる効果を生み出すこともできますが、投資額の小さな投資初心者にとって、リスク低減を目指すことが大きなメリットを生み出すことはそう多くないでしょう。

投資初心者におすすめのオプション取引

投資初心者におすすめの方法として投資損失額を限定したオプション取引があります。

よくある株式投資の負けパターンとして、損切りができないことによる損失拡大があります。たとえば100万円投資していた場合に95万円に株価が下降してしまってもいつかは上がると持ち続け、結局は80万円まで値が下がってしまったというパターンです。この後うまく上昇すれば良いのですが、もちろんさらに下がる可能性もあります。

一方、たとえば5万円分の資金を使って権利行使価格が95万円分のコールオプションを購入したとします。その後満期日にオプションの対象となる金融商品の価格が110万円分まで上昇していれば、110万円-95万円=15万円の利益から、コールオプションの購入に使った5万円を差し引くと10万円の利益となります。

一方、80万円分まで下降する可能性もあります。この場合損失は95万円-80万円=15万円と購入価格を合わせて20万円の損失となりますが、オプションは権利を行使するかどうかを選択することができます。権利を行使しなかった場合の損失は5万円で済みます。

このように、オプション取引は投資損失額を限定することのできる効果があり、場合によっては大きな利益を得られる可能性もある投資初心者におすすめの取引です。

自分にあった投資手法を探す

株式投資には、誰がやっても確実に儲かる方法はありません。また、一般的には難しいイメージのあるデリバティブ取引もうまく利用すれば投資初心者にとって大きな助けになるものもあります。デリバティブ取引も含めた投資手法の中から自分にあった手法を探していくと良いでしょう。