株の権利確定日で知っておきたいこと

権利確定日とは株主としての権利の有無を確定するために指定された日を指します。この権利確定日に株主としての地位を持っていれば、株主優待や配当、株主総会の議決権などの権利を得ることができます。

株主の権利は経済的にもメリットがあることから、権利確定日をめぐって株価が変動したりします。権利確定日を巡って一儲けできる可能性もありますから、実践するつもりで勉強してみることをお勧めします。

権利確定日を利用した取引と言っても個別企業ごとに事情が異なります。この権利確定日を巡って投資家は様々な虚々実々の駆け引きを行います。無知な投資家からお金をむしり取ろうとするような戦略も紹介させていただきます。

金融市場の餌食にならないように、権利確定に関する投資法などを理解しておくようにしましょう。

押さえておくべき用語

そもそも何の「権利確定」なのかという点についてですが、株主の地位から生じる①配当を受け取る権利②株主優待を受け取る権利③株主総会の議決権、などの権利が該当します。

これらの権利は特定の日に株主であると「権利確定」されるため、いつの時点で株主であれば権利を得ることができるのか、ということを知っておく必要があります。

年に1回ないし2回、配当を出す会社が多いわけですが、1年に1回のチャンスを1日違いの不注意で逃す危険があります。

このため、権利確定にかかわる以下の3つの用語はきちんと理解しておきましょう。

権利確定日:株主の権利がもらえることが確定する日
権利付き最終日:権利確定日の3営業日前
配当落ち日:権利付き最終日の翌日のことで、この日以降株を売っても権利を失わない

分かりづらいので、3月期決算の会社を例にすると、3月31日に権利確定する多くの日本の会社では、3月31日の3営業日前(休みがなければ3月28日)に株を買っておく必要があります。

配当や株主優待狙いの投資家は3月29日に株をかったとしても、その期の権利はもらえませんので、権利付き最終日がいつなのか、という点は忘れないで取引するようにしましょう。

株主の権利

「権利確定」といっても、どのような権利があるのかということになりますが、メインとなるのは3つの権利(①株主優待②配当③株主総会議決権)です。

株主優待の魅力

株主優待は企業ごとに自社サービスを利用するための無料券などの特典を配布するものです。優待実施銘柄の例をあげると、吉野家やマクドナルドなどは食事券がもらえます。

個人投資家としては応援している企業の商品を利用しやすくなりますし、企業側としても優待狙いであっても長期的な株主が多数いれば安定した経営を実現できるのです。

純利益の一部を還元する配当

企業が決算で確定した純利益の中から、その一部を株主に現金で還元することを配当といいます。

配当を行っている企業は株価の2%以上を配当してくれる企業も珍しくはなく、低金利が続く銀行預金と比べると突出したリターンになります。

毎年の配当金以上に株価が下落してしまえばトータルリターンはマイナスになってしまう可能性はあるものの、長期的に株価が買値水準以上であればかなりのリターンです。

3月末に権利が確定したとしても、株主優待や配当を受け取れるのはもう少し先になります。2~3か月先になって入金されることが多いようですので、最初の権利確定後の配当金は楽しみではありますが、待ち時間が長くてうれしさも半減といったところです。

株主総会の議決権

株主総会では会社の基本的事項について決定する権限があるので、それに対して賛成・反対で決議に参加することが可能です。

株式1単元(最低取引単位)につき1議決権が与えられます。要はお金持ちの方が決議に影響力を与えられる点で政治家の選挙とは異なりますが、株主総会の参加資格は1単元でも問題ありません。

投資初心者には敷居が高いかもしれませんが、1単元株であっても株主には違いありません。1度は株主総会に参加してみることをお勧めします。

権利確定日を巡るだましあい

権利確定日は株主の権利が与えられることに伴い、様々な駆け引きがなされる場でもあります。若干古いテクニックではありますが、「乞食狩り」と言われる手法について触れておきます。

乞食狩りとは?

優待の権利確定日が近づくと多くの銘柄は株価が上昇したり、高値圏で下がらなくなってきたりする傾向にあります。株主優待の権利を獲得する権利確定日までは優待狙いの投資家が多くなるため、需給が引き締まります。そして、権利確定後には株を手放す株主が多くなり、需給が緩めば株価は大きく値を下げることになります。

それを見越して信用売りを行って儲けようとする輩が出てきます。信用売りを使ったこれらの手段を活用することを「乞食狩り」と呼んでいます。

信用売りとは証券会社から株券を借りた形で最初に株を売り、その後に買戻しの決済をする取引方法です。最初に売った時点よりも株価が下落してれば、買戻しの時点での差額が利益となります。

このように株主優待を目当てに株を買ってくる株主を目当てに、先に株を売っておいて利益を獲得しようとすることも一つの戦略です。

乞食狩りに対抗する優待タダ取り手段

株主優待券の権利は欲しい、ただ株価がそれ以上に下落してしまうのであれば優待券をもらう意味は無い、ということで「乞食」扱いされてしまった側も対抗手段に出ます。それが、「クロス取引」というものです。

クロス取引は現物株の保有をして株主優待券の権利を獲得する一方で、権利確定前に信用売りをかけておき、権利落ちの取引開始時間前に決済取引を出しておきます。

そうすると、取引開始の9時の時点で現物買いと信用売りの両方が同値で決済されます。株主優待や配当の権利をただで取るということが理論上は可能になるのです。

ただ、最近は同じようなことを実行しようとする投資家が増えて痛い目に合うようになりました。

というのも、信用売りというのは通常の株取引でかかる手数料の他に、貸株料と品貸料とうものがかかります。貸株料は証券会社から株を借りてくることに伴う手数料で、品貸料は証券会社の貸せる株が少なくなってくると追加で必要になる手数料をいいます。

品貸料で追加されるコストが株主の権利をとるために増えてくると、配当金や株主優待のメリットを上回る水準まで上がってきてしまうことになります。

このため、この戦略がひところはもてはやされましたが、現在ではそれほど人気のある手法ではなくなり、実際にも儲かる手法ではないということになっています

乞食狩りも同じく餌食に

株主優待や配当の権利を獲得すると株を売る投資家もいますし、新規に買う投資家も限られてくることから、権利落ち後は株価が下落するのが一般的です。そうすると、乞食狩りは成功するようにも思えますが、実際のところはそこまで簡単ではありません。

というのも、既に触れた通り、信用売りというのは証券会社から株を借りてきて売ることからコストがかかります。また、信用売りをする前提として証券会社が貸し出せるだけの現物株を保有していなければなりません。

しかし、信用売りの参加者が増えるほど貸し出せる株が少なくなり、貸株料、品貸料が急騰してしまうことがあるので、博打を打つに等しいです。

こうなると権利落ち後の株価下落以上の手数料の負担で素人をひっかけようとして自分が泥沼にはまるといった事態になることがあります。

「乞食狩り」と呼ばれている通り、筋の悪い投資手法で、常に成功する戦略でもありませんので、現在では実践する投資家は少ないようです。

他人を出し抜いてやろうという「乞食狩り」は「投資」とはかけ離れた行為だ、ということを分かっていただきたいと思います。

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