株の複利効果について

株式投資をするにあたって、配当金株主優待をもらうことは楽しみのひとつですが、最大の魅力は「複利」の力でどんどん資産を増やしていけることです。

相対性理論を発見した天才物理学者アインシュタインも、複利のことを「人類最大の発見」と言ったとの説もあり、複利について知っているか知らないかで将来の資産形成にも大きく影響するほど、複利の概念は重要です。

今回は複利の概念を正しく理解し、複利の効果を活かすための方法について見てみたいと思います。

複利とは

複利とは利息の計算方法のひとつで、運用で得た利息を元本に加え、それを新たな元本として再び投資し、利息を計算する方法のことをいいます。運用で得た利息を再び投資することで利息が利息を生み、まさに雪だるま式に資産を増やすことができます。

単利と複利の違い

単利と複利の違いは、単利は元本にだけ利息がつくのに対し、複利は元本から得られた利息を元本に加え、その新たな元本に対して利息がつくことです。

たとえば、元本100万円で年利10%の利息がつく場合、単利と複利では以下のような違いが出ます。

年数 1年 2年 3年 4年 5年
単利 110万円 120万円 130万円 140万円 150万円
複利 110万円 121万円 133万円 146万円 161万円
差額 0万円 1万円 3万円 6万円 11万円

単利の場合は、元本100万円に対して10%の利息がつくため、1年目は110万円、2年目は120万円と毎年10万円ずつ増えていくのに対し、複利の場合、1年目は単利と同じく10万円の利息がついて110万円となりますが、2年目は得られた利息の10万円を元本に組み入れて110万円を新たな元本として運用するため、単利と比べて1万円多い121万円となり、5年目になると161万円と11万円まで差が広がっています。

これをもっと長いスパンで比較してみましょう。

年数 10年 15年 20年 25年 30年
単利 200万円 250万円 300万円 350万円 400万円
複利 259万円 418万円 673万円 1,084万円 1,745万円
差額 59万円 168万円 373万円 734万円 1,345万円

20年目には、単利は300万円なのに対し、複利は673万円と2倍以上の差が出て、さらに30年目にはその差は1345万円にまで広がり、まさに雪だるま式に増えていることが分かります。

複利の計算方法

複利は、以下の計算式で算出することができます。

元本×((利回り(%)÷100)+1)^投資期間

たとえば、元本100万円で年利5%の場合、3年後には

100万円 ×((0.05)+1)×((0.05)+1)×((0.05)+1)= 115万7,625円

となります。

これが単利の場合だと、単利の計算式は

元本×((利回り(%)÷100)×投資期間+1)

ですので、

100万円 ×((0.05)×3+1)= 115万円

となります。

この数式から見てもわかるとおり、単利の計算は「足し算」であるのに対し、複利の計算は「かけ算」であるため、投資期間が長ければ長いほど差が出ます。

また、複利の計算ではよく「72の法則」が使われます。72の法則とは、元本が2倍になるまでの年数を簡易的に求める方法で、以下の数式で算出できます。

72÷年利=2倍になるまでの年数

たとえば、年利3%であれば72÷3=24年で、年利5%であれば72÷5=14.4年で2倍になることがわかります。

また、「○○年で資産を2倍にするためには何%で運用しなければならないか」を計算する場合にも72の法則を使うことができます。たとえば、10年で資産を2倍にしたい場合は、72÷10年=7.2%となり、年利7.2%で運用しなければなりません。

あくまで概算ですが、この72の法則を知っていれば複利に関する計算を暗算で求めることができます。

複利を重視したウォーレン・バフェット

世界的に有名な投資家・経営者で、多くの人から敬愛の念を込めて「オマハの賢人」と呼ばれるウォーレン・バフェットも、幼少期の頃から複利の持つ力を理解し、複利の概念を重視している人物として有名です。

バフェットは、資本を効率的に運用して利益を増やしている企業に投資し、その企業の株式をホールドし続けることによって複利の効果で資産を築いてきました。

この投資手法で、バフェットは37年間の運用期間で平均22.60%のパフォーマンスを記録し、現在の総資産は9兆円ともいわれていますが、これだけ莫大な資産を築くことができたのは、複利効果を最大限享受できたからです。

 

株で複利の力を活かす方法

複利という言葉は知っていても、実際に株式投資で複利の力を活かした運用方法を知っている人は多くありません。ここでは、株式投資で複利効果を高めるためのポイントを紹介します。

基本は長期投資

運用期間が長いほど、投資元本が大きくなるほど複利による効果は大きく、複利効果を最大限生かすには長期投資がベストです。複利の効果はすぐに実感できるものではなく、時間をかけて「時間を味方につけること」で発揮されます。

できるだけ早く投資を始める

長期投資するためには、できるだけ早く投資を始めましょう。初心者は「まとまった資金がないと投資を始めることができない」と考えがちですが、投資を開始する時期が遅くなると複利の運用で得られる金額が少なくなるため、たとえ少額でも早くから投資する方が有利です。

あのバフェットも、たとえ少額でも早くから投資することを薦めていますが、これは彼が早く投資を始めた方が複利の効果も大きくなることを誰よりも理解しているからです。

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分散投資する

特定の銘柄に集中投資するのではなく、複数の銘柄に分散投資してリスクを軽減しましょう。特定の銘柄に集中投資すると、会社の不祥事により株価が暴落した場合や業績不振で減配になった場合などに大きなダメージを負ってしまいます。

過度な分散投資は運用リターンを低下させてしまいますが、リスクを抑えるために複数の銘柄や異なる商品に分散投資しましょう。

課税を繰り延べする

複利の運用では、できるだけ利益確定を遅らせて課税を繰り延べすることも重要です。利益確定をすると、その都度税金と売却手数料がかかり、再投資に回す資金が少なくなるため複利効果が薄れてしまいます。

利益が出ていても安易に利益確定せず、課税を繰り延べして複利効果を高めましょう。

安定した配当が見込める商品に投資する

複利では運用で得た配当を再び投資するため、安定した配当が見込める商品に投資するべきです。高い配当が見込める商品に投資することも大切ですが、いくら配当が高くても1年だけしか配当が出ないようでは意味がありません。

目先の配当利回りにこだわるのではなく、継続して配当が得られる商品を選びましょう。

複利の運用に向いている商品

複利の運用には、値動きの激しい商品よりも継続的に配当を出して長期で保有できる商品が向いています。電気やガス、鉄道などの「ディフェンシブ株」は、業績が安定しており配当利回りも良いため、複利の運用に適しています。

また、毎月一定の金額で株式を購入する「るいとう」も、月々一万円という少額から始められ、配当金が投資元本に組み込まれるため、複利の運用に向いています。

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投資信託も、個別銘柄を買うよりも分散投資しやすく長期保有しやすいことから、複利の運用に向いています。ただし毎月分配型の投資信託は、毎月の配当に税金がかかり、その分再投資に回す資金が少なくなり複利効果が薄くなってしまうため、複利の運用には不向きです。

複利のリスク

複利にはメリットがたくさんありますが、当然リスクもあります。大切な資産を減らさないためにも、以下の点に注意しましょう。

マイナスリターンに弱い

複利の最大のリスクは、単利に比べてマイナスリターンに弱いことです。単利の運用では配当が再投資されることがなく、利益として手元に残りますが、複利の運用では配当も再投資されるため資産の大部分がリスクにさらされており、運用成績がマイナスになった場合に大きな損失を出してしまうことがあります。もし信用取引でレバレッジをかけていた場合、たった一度の損失でこれまでの利益を一気に吹き飛ばしてしまう可能性もあります。

複利は、運用資金を雪だるま式に増やすことができる半面、運用成績がマイナスとなった場合に加速度的に損失が増えてしまう可能性も考慮しておかなければなりません。

運用利回りは保証されていない

株式投資は、銀行預金のように毎年安定した収益を得られるものではありません。複利計算のシミュレーションはあくまで「年利○%で運用すれば」という仮定で、実際の株式投資で毎年安定した利回りで運用できる保証はありません。

また、投資期間中に日経平均の暴落や震災などのアクシデントが発生し、資金を引き出さなければならなくなった場合、投資元本が減少して複利効果が薄くなるため、投資パフォーマンスが押し下げられ、長期の運用リターンが大きく変動します。

このように、複利には単利に比べて資産を増やしやすい半面、リスクも大きくなるというデメリットがあります。複利の運用では、短期投資で大きな利益を狙うのではなく、長期投資でリスクを抑えコツコツ利益を積み上げることが大切です。