株式投資におけるボリンジャーバンドの使い方

株やFXのチャートを分析するテクニカル指標の一つにボリンジャーバンドと呼ばれるものがあります。数あるテクニカル指標の中でも多くの投資家に利用されているボリンジャーバンドですが、株式投資においてはどのような使い方をするのでしょうか。見方をそれぞれ見ていきます。

ボリンジャーバンドとは

ボリンジャーバンドという用語を聞いたことがあるでしょうか。株やFXのチャートを分析する際に利用されるテクニカル指標のひとつで、ボリンジャーバンドは移動平均線を表す線と、その上下に値動きの幅を示す線を加えた指標で、「価格の大半がこの帯(ボリンジャーバンド)の中に収まる」というものです。

1980年頃にジョン・ボリンジャー氏が統計学を応用して考案した理論で、略してボリバンと呼ばれることがあります。

ボリンジャーバンドの計算式

ボリンジャーバンドの計算式は以下のようになっています。

標準偏差の計算式

上記式で、標準偏差σ(シグマ)を求めます。上記式を展開すると・・・

標準偏差の計算式の展開

  • N=9日、20日、25日等、任意の期間
  • X1~Xn=1日目からN日目までの各終値
  • Xm=X1~Xnで求めた各終値の平均値

上記式で求めた標準偏差σ(シグマ)を、移動平均線と足し合わせるとボリンジャーバンドが出来上がります。

  • ±1σライン・・・移動平均線の数値±標準偏差→約68%の確率で、±1σラインに収まる。
  • ±2σライン・・・移動平均線の数値±2×標準偏差→約95%の確率で、±2σラインに収まる。
  • ±3σライン・・・移動平均線の数値±3×標準偏差→約99%の確率で、±3σラインに収まる。

ボリンジャーバンドはエクセルで計算式が登録されていますし、多くの株価チャートで、ボタン一つで表示できるため計算式を覚える必要はありませんが、その成り立ちを理解しておくと良いでしょう。

標準偏差とは

標準偏差とは統計学で利用される概念のことで、偏差とは「平均値からの乖離」、標準偏差とは簡単にいうと「偏差の平均」であるということができます。

たとえば、学校のテストでA君が79点、B君が60点、C君が38点とった場合、平均値が(79+60+38)/3=59点となります。偏差は「平均値からの乖離」なので、A君の偏差は+20、B君の偏差は+1、C君の偏差は-21となります。ここで、偏差の平均を取ろうとすると、合計が0になってしまうので、+と-を除いた数値で算出します。すると、(20+1+21)/3=14となります。このように、平均からいくら離れているか、を計算するのが標準偏差の基本的な考え方です(上記の計算式は簡単に説明したものであり、実際の標準偏差の算出においては各数値に2乗をかけた数値の平方根を用いて算出します)。

移動平均線とは

移動平均線とは、一定期間の終値の平均値をつなぎ合わせて線にしたもののことで、ボリンジャーバンドの中心線となります。一定期間は、任意で設定することができますが、話を簡単にするために3日分の移動平均線について考えてみましょう。

たとえば、1日目に100円、2日目に105円、3日目に104円と株価が推移した場合、その3日分を足し合わせて、日数分で割ります。すると、(100+105+104)/3=103円と平均値が計算できるので、この103円を4日目のチャートに表示します。この4日目が移動平均線のスタート地点となります。この要領で1日ずつずらしながら同じ作業をしていき、その数値をつないだものが移動平均線となります。

移動平均線で設定する日数には9日移動平均線、25日移動平均線、200日移動平均線等さまざまですが、日数が短いほど短期的なトレンドが分かり、長い程長期的なトレンドが分かります。同じチャート上に9日移動平均線と200日移動平均線を同時に表示して短期のトレンドと長期のトレンドを両方確かめることもできます。

ボリンジャーバンドが示すこと

ボリンジャーバンドの中心線となっているのが移動平均線です。株価は上下を繰り返しますが、移動平均線あたりで推移していることが多く、移動平均線から極端に離れることはあまりありません。この考えに基づいているのがボリンジャーバンドです。

つまり、移動平均線から株価が離れた時、移動平均線よりも株価が高い時には売り、移動平均線よりも株価が安い場合は買うという判断をすることができるのです。

逆張り手法と順張り手法

一般に、ボリンジャーバンドは逆張りと呼ばれる投資手法といわれていますが、順張り手法としても使われます。

逆張り手法

逆張りとは、「株価の動きと逆方向に売買する」手法のことを指します。つまり、株価が急落する時に通常は株を売却しますが、逆張り手法では購入します。同じ様に、株価が急騰する時に通常は購入しますが、逆張り手法では空売りを仕掛ける、といったことをします、

±1~±3σを各々ボックス相場でみられる上値抵抗線や下値支持線と考え、株価が移動平均線よりもマイナスの方向(-1~-3σ)に動いた時が買いサイン、プラスの方向(+1~3σ)に動いた時が売りサインと見ます。

順張り手法

順張り手法とは、「株価の動きの方向に合わせて売買する」手法のことを指します。つまり、株価が上昇トレンドの時に株を購入し、株価が下降トレンドにあるときに売却します。

通常ボリンジャーバンドでは逆張り手法として考えられることが多いですが、±2~±3σを超える動きをした場合はこれまでのトレンドが転換したとみて、移動平均線よりもマイナスに動いた時に売りサイン、プラスに動いた時に買いサインと見ることがあります。

ボリンジャーバンドで分かること

ここでは、ボリンジャーバンドで分かることを3つ紹介します。

ボリンジャーバンドでリスクの範囲を見る。

ボリンジャーバンドは価格変動のリスクを示します。株価がバンドの中で推移することがボリンジャーバンドの原則なので、バンドから株価が出ている時は売られすぎ、または買われすぎを示します。株価がバンドの外にある時には相場やトレンドの転換点と見ることができます。

ボリンジャーバンドは、一定期間の終値の標準偏差を移動平均線に足し合わせたものです。終値の動きが大きければボリンジャーバンドのバンドも広くなり、終値の動きが小さければバンドが狭くなるといった具体に、ボリンジャーバンドは収縮を繰り返します。

ボリンジャーバンドでトレンドの変化を見る

ボリンジャーバンドの収縮で株価のトレンドの変化を捉えることができます。ボリンジャーバンドが収縮している時は、株価は一定の価格帯で上下している状態といえます。一方でバンドが拡大している時はその後の大きなトレンドを形成しているといえます。

ボリンジャーバンドで投資の心理状況を見る

ボリンジャーバンドで投資の心理状況を見ることができます。ボリンジャーバンドが縮小している状態から拡大している状態に推移していく中で大きなトレンドが形成されていきます。このようにトレンドが一方に傾くと投資家心理としては徐々に不安になり、上昇トレンドであれば早期の利益確定が多くなり、下落トレンドであれば安値買いが多くなります。この結果、一方向に動いていたトレンドは弱まり、ボリンジャーバンドの収縮が起こります。

ボリンジャーバンドの注意点

ここでは、ボリンジャーバンドの注意点を示します。

株価がボリンジャーバンド内に収まらないこともある

ボリンジャーバンドを算出する計算式で示したように、移動平均線も標準偏差も過去数日間の平均値や偏りを算出したものなので、将来の株価が必ずしもその通りに動くとは限りません。99%収まるといわれる3σも、実際の株価は逸脱することもあるので注意が必要です。

ボリンジャーバンドとバックテスト

最初にボリンジャーバンドを利用する際には、一度バックテストをしてみると良いでしょう。バックテストとは、過去の相場を参照して、テクニカル指標や独自の売買ルールが通用するかどうかを調べる方法です。ボリンジャーバンドはメジャーなテクニカル指標なので、多くの株価チャートで簡単にバックテストすることができます。

どのような時にトレンドが転換しているのか、その時ボリンジャーバンドはどのような動きをしているかを確認すると良いでしょう。

ボラティリティー(価格変動)は計測できてもトレンド方向は不明

ボリンジャーバンドは、元々ボラティリティー(価格変動)を計測するためのツールです。価格変動が小さい場合を「スクイーズ(停滞)」といい、銘柄の価格変動が大きい場合を「エクスパンション(爆発)」といいます。

ボリンジャーバンドは、銘柄の価格変動が小さい「スクイーズ」と、銘柄の価格変動が大きい「エクスパンション」が繰り返されることを前提とした理論ですが、どのトレンド方向に価格変動するかが厳密にはわからないのが難点です。

そのため、「スクイーズ」と「エクスパンション」のタイミングは予測できても、買いなのか売りなのかが予測しにくい投資手法であるといえます。

ボリンジャーバンドのダマシ対策

ボリンジャーバンドを用いて株価にシグナルが出たときは、シグナルが本物なのかダマシなのかを見極める必要があります。株式市場は、一定の範囲内で値動きをする「ボックス相場(レンジ相場)」が7割、全体的な株価が上下のどちらかに向かう「トレンド」が3割とされており、シグナルはボックス相場の一時的な動きに過ぎないことがあるからです。

そのため、ダマシを見破るための対策が必要になります。

ローソク足の動向を見て少しずつ買い足す

ボックス相場で株価が推移している際、移動平均線が傾いたところで最初に株を購入し、±2σラインに到達したところで買い増します。その後も株価がボリンジャーバンドを突き抜けているようであれば、さらに買い足していきます。ローソク足の様子を見ながら少しずつ購入することで、リスクを抑えることができます。

一瞬だけ±2σや±3σラインにタッチ

ローソク足から伸びたヒゲが一瞬だけ2σや3σラインにタッチすることがあります。ヒゲは株価が上昇・下落したものの値を戻してきたことを意味しますので、ボックス相場から転じてトレンドに移行することはほとんどありません。

ボリンジャーバンドと他の投資手法を組み合わせる

ボリンジャーバンドは多くの投資家にも利用されているテクニカル指標です。実際にボリンジャーバンドから株価が逸脱するケースは少ないため、ボリンジャーバンド単体では買いサインや売りサインを拾う回数が少なく、少し退屈な投資となってしまいます。ボリンジャーバンドも活用しつつ、他のテクニカル分析ファンダメンタルズ分析も覚えていくと良いでしょう。

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