株のナンピンの買い方

株式投資の初心者でも、「ナンピン」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。

ナンピンは漢字で「難平」と書きますが、「ピン(平)」は唐音で、「難」(困難、難儀)を「平」らにする(平均化する)という意味で江戸時代中期の米相場において広く使われていました。

多くの株式関連サイトや書籍で「ナンピン買いは絶対やってはいけない」というフレーズをよく目にしますが、ナンピン買いは古くからある投資手法で、機関投資家などのプロでもナンピン買いをしている人はいます。

間違ったナンピン買いはやってはいけませんが、正しい使い方をすれば損失を軽減する有効な手段となります。今回はナンピン買いについて、メリットやデメリット、正しい使い方などを見てみたいと思います。

ナンピン買いとは

ナンピン買いとは、保有株の株価が下落した時に、下値で買い増して一株あたりの買値(平均取得単価)を下げることをいいます。

たとえば、現在値1,000円の株を100株購入し、その株が900円まで下落した時にさらに100株買い増し(ナンピン買い)すると、保有株数は200株で平均取得単価は

(1,000円+900円)÷2=950円

となり、950円で200株購入したのと同じ状態になります。

その後さらに株価が下落し、800円で100株、700円で100株ナンピン買いした場合、保有株数400株で平均取得単価は

(1,000円+900円+800円+700円)÷4=850円

となり、850円で400株購入したのと同じ状態になります。

ナンピン買いのメリット

ナンピン買いのメリットは、平均取得単価を下げることによって損失からプラスへ転換しやすくなることです。

先ほどの例で現在値が700円となっている場合、最初に購入した100株(購入単価1,000円)のみだと、株価が300円戻らないと損益がプラスマイナスゼロになりませんが、ナンピンで買い増した300株も合わせると、平均取得単価が850円まで下がっているため、150円戻せば損益がプラスマイナスゼロになります。

また、もし株価が反転して1,000円まで戻った場合、トータルで60,000円の利益となります。

購入単価1,000円×100株のポジション=プラスマイナスゼロ
購入単価900円×100株のポジション=10,000円の利益
購入単価800円×100株のポジション=20,000円の利益
購入単価700円×100株のポジション=30,000円の利益

このように、株価の上昇トレンドにおいては、ナンピン買いで平均取得単価が下がることによってプラスへ転換しやすくなります。

ナンピン買いのデメリット

ナンピン買いのデメリットは、株価が下落し続けた場合に損失が膨らむことです。

先ほどの例でいうと、最初に購入した100株(購入単価1,000円)とナンピンで買い増した300株で平均取得単価が850円まで下がりましたが、もし現在値が600円まで下落した場合、損失額が100,000円に増加します。

購入単価1,000円×100株のポジション=40,000円の損失
購入単価900円×100株のポジション=30,000円の損失
購入単価800円×100株のポジション=20,000円の損失
購入単価700円×100株のポジション=10,000円の損失

ナンピン買いには平均取得単価を下げるメリットがありますが、株数が増えてリスクも増えていることを忘れてはいけません。保有株が上昇トレンドとなった場合はメリットを受けやすい半面、下落トレンドとなった場合にはリスクも増大するのです。

ナンピン買いは、平均取得単価が下がるという点において「ドルコスト平均法」によく似ています。ドルコスト平均法とは、投資信託で一定金額を継続して投資することにより、株価が高いときは少ない株数を買い、株価が安いときは多い株数を買うことによって平均買付単価を下げる投資法のことです。

ナンピン買いもドルコスト平均法も、下落局面で買い下がる投資法ですが、ドルコスト平均法は構成銘柄が分散された投資信託に資金を投じているのに対し、ナンピン買いは個別銘柄に集中投資しており、リスク分散の効果が出にくいのです。

またナンピン買いを繰り返し、ひとつの銘柄に大金をつぎ込んでしまった結果、損失を抱えたまま投資資金が尽きて身動きが取れなくなってしまい、保有株が塩漬けになってしまう恐れもあります。

ひとつの銘柄に資金を集中させることは、他の銘柄で利益を得るチャンスを失う機会損失にもなるのです。

上手なナンピン買いの使い方

ナンピン買いは、うまく使えば損失を軽減する有効な手段となります。ここではどのようにナンピン買いすればよいか、その上手な使い方を見てみたいと思います。

あらかじめ損切り位置を決める

ナンピン買いをする時には、「500円まで下落したら」「購入価格から20%下落したら」など、あらかじめ損切り位置を決めておき、損切り位置に到達したら必ずロスカットするようにしましょう。

適切なポジションサイジングをする

ポジションサイジングとは、「資金管理」のことです。投資資金の中から、一回のトレードに投入する金額やナンピンに使う金額などを決めておき、一度に大金をつぎ込んで過度なリスクを取るのではなく、うまく資金をコントロールして余裕を持って売買することです。

最初は打診買いのスタンスで

株価の底値を当てるのは、株式投資のプロでも簡単ではありません。最初に大きなポジションを取っていきなり大きな評価損とならないように、第一段階の買いは投資可能資金の20%~30%程度に抑え、小分けにして買い付けるようにしましょう。

需給の歪みによる下落はナンピン買いのチャンス

「大株主の売り」や「同セクターの銘柄が下落した影響」など、ファンダメンタルズに変化がないにもかかわらず、需給の歪みによって株価が下落している時は、ナンピン買いのチャンスです。

PER(株価収益率)25日移動平均線との乖離率などを参考に、売られ過ぎとなっているタイミングで押し目買いしましょう。

間違ったナンピン買いの使い方

ナンピン買いは、間違った使い方をするとあっという間に資金を溶かしてしまいます。以下のような間違ったナンピン買いの使い方をしないように十分気をつけてください。

場当たり的にナンピン買いする

当初はナンピン買いする予定ではなかったのに、保有株が下落した途端にナンピン買いをしてしまう人がいますが、計画性のない場当たり的なナンピン買いは一番やってはいけないことです。

損切り位置を決めずに、「いずれ株価が上昇するだろう」という希望的観測でナンピン買いを繰り返すのは無謀なだけで、破産への道を早めます。

損切り位置を変える

「損失を確定したくないから」「もう少し待てば上昇しそうだから」などの理由で、あらかじめ設定した損切り位置を変えても損失が膨らむだけです。

損切り位置に達してもまだ下落しているということは、見通しが間違っていたということです。損切り位置に到達したら素直に間違いを認め、潔く損切りしましょう。

ナンピンするたびに株数を倍増する

「マーチンゲール法」のように、ナンピンで買い下がるごとに株数を倍増させていく手法で勝ち続ける投資家はいません。

マーチンゲール法とは古くからあるギャンブルの手法で、負けた時にゲームの賭け金を倍にして賭けることで負け分を全て取り返す、理論上100%勝てるといわれる手法ですが、たいていの場合は資金が続かず、一回の負けで口座の資産が吹き飛んでしまう可能性があります。大切なのは、勝率ではなく利益です。

無理なナンピン買いはしない

「下手なナンピン怪我のもと」「下手なナンピンすかんぴん」などの格言が示す通り、ナンピンで大損する人は多く、ナンピン買いで含み損の状態が続くと追い込まれた精神状態になり、冷静な判断ができなくなります。

大きな利益を狙うために無理にナンピン買いするのではなく、あくまで損失を軽減するための手段と割り切って正しく使いましょう。